10代20代の片耳難聴Cafe【第3回】イベントレポート

2021年2月27日 − Written by 麻野 美和

しゃべり場、片耳難聴Cafe(交流会)。
今回は、3回目の開催となる10~20代対象の会についてを様子を紹介します。

2020年度は、毎月オンラインにて
様々なテーマを自由に話す会と、特定のテーマ・対象で話す会の2つの柱で企画。

10~20代の会は、シーズン毎に行っています。
次回は2021/7/25(日)を予定。
「同年代と話してみたいな」「他の人は、どんな風に学校で過ごしてるんだろう」など、興味のある方はご連絡ください。
(その他のテーマ・対象フリーの会に、参加いただくこともできます)

10~20代の会で主に話されたこと

参加者は、高校1年生~大学生4年生までの男女7名。
片耳難聴になった時期や理由は、
生まれつきや子どもの頃からの片耳難聴の方や、小耳症で外耳道閉鎖症、物心ついてから突発性難聴になった方でした。

また今回、進路や就活にまつわる話をしたい人が多かったため、ゲストとして片耳難聴で社会人ベテランの先輩にも参加いただきました。

お話ししたことの一部を紹介します。

伝えることについて

  • 以前、学校の先生に伝えたこともあるが、席を聞こえる側とは反対側にされてしまうなど
    理解があまり得られたとは感じられなかった。
    それから、先生や大人に相談する気はあまり起きない。
    周りの友達には「こっちの耳が聞こえないから、無視しちゃってたらごめん」などと伝えている。
  • 小耳症で手術もしていないため、耳の形に特徴がある。
    でも、髪の毛で耳が隠れていると周りの人からは気づかれない。
    格闘技をやっていた頃もあり、耳の形を見た人には「格闘技が原因で耳がつぶれたんだね」と誤解され、ついそのままにしてしまったこともある。
    「生まれつきです」と言うと、重い雰囲気になるのが申し訳ない気持ち。
  • 小耳症で、自分にしかない耳の形だから変えたくなく手術はしていない。
    見た目にも分かると思う。
    高校に入った人間関係が変わるタイミングでクラスメイトにも言うようになったが
    ほとんど特別な反応はなく、良くも悪くも関心がない感じ。
    でも、中には配慮してくれる人もいるし、言って良かったなと思っている。
  • 自分が何をして欲しいか、明確になっていないから伝えられていないことが多い。
    言うタイミングを逃してしまったと思う。
    友達と仲良くなってしまってからでは、今更な感じや改まってしまう感じもあって余計に言いにくい。
    始めの自己紹介で言っておけばよかったかもしれない。

就活について

  • 医療福祉業界を志望している。
    これまでバイトで現場に入る際にも、伝えてきた。
    就活のときも、面接で片耳難聴のことを話して、
    もしそれが原因で落とされたとしても、それで落とすような職場なら自分は働きたくは無いと思っている。
  • 片耳難聴を自分の強みとして、生かしていきたい。
    困ることもあるけど、それを乗り越えてきたことは自分の長所になると思うから。
  • 看護師になりたいが、命に関わる現場なので聞こえないことで何かあったらと不安にもなる。
    コロナ渦で実習がほとんど出来ないので、具体的なイメージも対応も考えにくい状況。
    これまで行った実習先では、中等度難聴の方の耳に補聴器を付けていることを言うと「若いのに」と驚かれる。
    重くは受け止めてほしくないので、明るく笑顔で言うようにしている。
  • 警察官か消防士になりたい。
    でも、採用要項は各種の身体要件が記載されていて、聴力も「正常であること」「業務に支障ないこと」等とある。
    就活説明会で問い合わせたが、担当の方からは管轄内で片耳難聴の警察官がいるかは分からないといった回答だった。

  • →Hint
  • 聴覚障害を持つ医療従事者の会 
    「仕事における聴覚の条件」
  • 片耳難聴に関わる条件のある仕事についてのまとめ記事。
  • 要件は、採用する自治体・職種・採用年度にもよるため、必ず自身がエントリーする年度に問い合わせること。
  • (例:警察官の場合では類似の業務でも、皇居護衛官や刑務官などは聴力は要件になっていないものもある。また、採用後に片耳難聴になった場合で働いている人もいる)

補聴機器について

  • 補聴器にも興味があるが、どこに相談したらいいか分からない。
  • 病院で補聴器を紹介されたことがあるが、自分だけでは決められなくて使っていない。
  • 最近、高校生になってから使い始めた。
    外耳道閉鎖症で骨導聴力はあるため、軟骨伝導補聴器を使っている。
    聞こえない側からの聞こえは良くなったが、デメリットと感じるのは、装用していると耳が痛くなること。
  • 難聴側は中等度難聴で補聴器が使えるため、大学生になってから使い出した。

    付けていたほうが安心感があるが、デメリットを感じるのは、電車の音などの騒音も大きくしてしまうこと。また、マスク・めがね・補聴器と、耳の後ろが渋滞中。

感想

参加者からの感想の一部を紹介します。

  • 皆の話を聞いて、就活の悩みが減った。
    もっと自分の耳のことを周りに伝えてもいいんだと思った。
    これからは、堂々としていこうと思う。
  • 同世代や、自分と同じ境遇の人の感じていることが聞けてよかった。
    同じ片耳難聴でも、それぞれの置かれた状況や環境によっても違うんだなと思った。
  • 就活でも、片耳難聴のことを伝えるでも、当たって砕けようと思えた。
    まずは、言ってみて・やってみて。理解してくれる人もいる、頑張ってみようと思う。

今後の予定

片耳難聴Cafeは、きこいろ会員メンバー以外でも参加できるオープンなイベントです。
オンライン開催は、参加費無料。

「こんなテーマで話したい!」などアイディアがありましたら
お便りフォームよりお寄せください。

交流会の進行を行うファシリテーターや、勉強会の講師を務める聞こえの専門職も募集しています。
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