1. 概要
労災保険*1は、通勤時の事故や明らかな業務上の理由によりケガや病気になった人の生活を補償する制度です。もしあなたが仕事の騒音環境が原因で難聴になった場合、一時給付金が支給される可能性があります。
2. 条件
85dB以上の騒音下で5年以上働いてきた人*2で、難聴が次のいずれかの後遺障害等級である人が目安となります。
後遺障害等級 | 聴力の状態 | 均純音聴力レベル |
---|---|---|
9級 | 片耳の聴力が全くない | 90dB以上 |
10級 | 片耳の聴力が耳に接しなければ大声が分からない | 80dB以上 |
11級 | 片耳の聴力が40cm以上の距離で普通の話し声がわからない | 70dB以上 |
14級 | 片耳の聴力が1m以上の距離で小声が分からない | 40dB以上 |
3. 手続きの流れ
申請は在職中か、離職してから5年以内に行う必要があります。
①自分が要件を満たしているかを地域の労働基準監督署に問い合わせる
②次の書類を揃える
- 労働者災害補償保険 診断書
労災指定病院の医師に書いてもらう必要があります。
※騒音性難聴の聴力検査は発症後7日間できない(聴力が固定してから検査を行う必要がある)ことにご注意ください。 - 障害補償給付支給請求書
会社に書いてもらう必要があります。
③書類一式を労働基準監督署に提出する
3. 支給金額
給付金額は後遺障害等級によって変わります。一時金を受給した後で障害の程度(障害等級)が悪化しても、給付額の変更は行なわれません。
9級 | 500,000円 |
10級 | 390,000円 |
11級 | 290,000円 |
14級 | 80,000円 |
詳細
- *1 根拠法: 労働者災害補償保険法
- *2 支給対象の職業病リスト(厚生労働省)には「著しい騒音を発する場所における業務による難聴等の耳の疾患」と記載されています。職業上のストレスによる突発性難聴等は該当しないと考えられています(ストレスと難聴発症の因果関係は立証が難しいため)