後天的な片耳難聴に伴う音楽との関わり、聴こえの変化・順応

Written by 辻 慎也

2. 音楽の聴こえの変化・順応

両耳聴の効果が音楽を聴くうえでも
重要な役割を担っていると言われています2)

片側聾の場合、両耳聴の効果が得られず、
音楽の聴こえが「不自然」「不快」「不明瞭」になり、小編成の音楽を好むようになる、
といった片耳難聴による影響が報告されています3)

この結果は難聴側に聴力があるケースにも共通しているのでしょうか?
また、聴こえへの順応はみられるのでしょうか?

⑦ 音楽の「自然さ」(10段階評価)

8. 音楽の自然さの変化を示す画像
  • ステレオで両耳から立体的に聴こえないのが苦痛で悲しい。(55歳男性)

というコメントもありました。

⑧ 音楽の「快さ」(10段階評価)

9. 音楽の快さの変化を示す画像

片側聾、片耳難聴 どちらのグループも、
発症前と比べて、発症直後の音楽の聴こえが
「不自然」「不快」「不明瞭」になりました。

また、発症直後と比べて現在、
音楽の聴こえへの順応がみられましたが、
順応には限界がありました。

⑨ 音楽の「明瞭さ」(10段階評価)

10. 音楽の明瞭さの変化を示す画像
  • 歌詞の聞き取りが難しい。何度も聴き込まないと意味が理解できない。(51歳女性)

というコメントもありました。


音楽の好み

片側聾、片耳難聴 どちらのグループも、
発症直後、小編成の音楽を好むようになりました。

一方、現在では、発症前と同様の好みに戻っていました。

⑩ 音楽編成の好み

11. 音楽の編成の好みの変化を示す画像

BGMの聴こえ

片側聾、片耳難聴 どちらのグループも、
発症の前と比べて、発症直後の
「会話をする時のBGMの煩わしさ」が上昇していました。

現在でもBGMは煩わしいままで、
順応には限界がありました。

⑪ 会話をするときのBGMの煩わしさ(10段階評価)

12. 会話をするときのBGMの煩わしさの変化を示す画像
  • 作業用にはBGMがあった方が良い時もあると感じています。ただし、音楽の種類によっては疲れてしまったり、会話の際は静寂を好んだりと、音楽との関わり方は変化したと感じています。(30歳男性)

というコメントもありました。

まとめ

  • 難聴側の聴力がある / なしどちらのグループも、
    片耳難聴の発症直後、音楽への関わりが減り、
    音楽の聴こえが「不自然」「不快」「不明瞭」になりました。
  • 片耳難聴の発症直後と比べて、
    現在(アンケート回答時点)での音楽への関わり・聴こえに順応がみられました。
  • BGMの煩わしさは高いままだったりと、聴こえへの順応には一部、限界がありました。

次のページでは、物心がつく前に片耳難聴を発症したケースの結果を見ていきます。

出典・引用文献

  1. Tsuji S., Arai T. (2020) Music appreciation and adaptation for those with unilateral hearing loss and single-sided deafness : a questionnaire survey using a social networking service. (in press).
  2. Veekmans K., Ressel L., Mueller J. et al (2009) Comparison of music perception in bilateral and unilateral cochlear implant users and normal-hearing subjects. Audiology and Neurotology, 14(5), 315–326. 
  3. Meehan S., Hough E. A., Crundwell G. et al (2017) The Impact of Single-Sided Deafness upon Music Appreciation. Journal of the American Academy of Audiology, 28(5), 444–462. 

著者紹介