めまいの慢性期
突発性難聴やムンプス難聴
突発性難聴やムンプス難聴でめまいを伴う場合、前庭(バランス)機能も悪くなり改善しないことが多くあります。
しかし、たとえ片方の前庭が完全に機能しなくなっても、反対の耳の前庭と小脳などの脳(中枢)でバランスを取り直し徐々に改善します。
急な難聴や強いめまいでとても心配になると思いますが、新しいバランスを取り直すためになるべく早い時期から身体を起こし、歩行を開始することが重要です。
メニエール病や遅発性内リンパ水腫
メニエール病や遅発性内リンパ水腫では、めまいを繰り返すうちに前庭(バランス)が悪化していきます。両側のメニエール病の場合には、両側の前庭が悪化するためふらつきを強く感じる事があります。
しかし、歩行や運動でバランスを取り直す能力を高めることができます。転倒したときに怪我をしないような場所で積極的に身体を動かしましょう。
不安な方はめまい相談医に相談し、前庭機能検査や前庭リハビリテーションについて相談してみてください。

めまいと生活Q&A
Q.車の運転はどうしたらよいですか?
A. 服用している薬の作用によっては、運転についての注意があります。指示に従い、調子の悪いときは無理せず運転はやめましょう。
運転への支障がない薬(以下、一般名・製品名)
- 利尿剤:イソバイド・メニレット・五苓散・柴苓湯
- めまいの薬:ベタヒスチン(メリスロン)、ジフェニドール(セファドール)
- ビタミンB12:メコバラミン(メチコバール)
- ATP:アデホス
- その他、ケタス・カルナクリン、ステロイド(プレドニゾロン)
運転が禁止されている薬
- 酔い止め・めまい止めの薬:(トラベルミン・ドラマミンなど)
- 抗不安薬・安定剤:ジアゼパム(セルシン・ホリゾン)、エチゾラム(デパス)
- トフィソパム(グランダキシン)
- 吐き気止め:メトクロプラミド(プリンペラン)
- 筋緊張をやわらげる:エペリゾン(ミオナール)、チンザニン(テルネリン)
運転の注意喚起がされている薬
- 吐き気止め:ドンペリドン(ナウゼリン)
Q.仕事を続けられますか?
A. めまいがしたときに危ない場所での仕事や作業(高いところ・足場の悪い所・車の運転)などは避けた方が良いです。
それ以外の仕事は、基本問題ありません。
仕事を続けていく上で重要なのは、充分な睡眠や適度な運動、気分転換・リラックスできる時間がとれるように生活や時間配分を見直すことです。
Q.日常生活に制限などありますか?
(食事、カフェイン、アルコール、喫煙、飛行機、スポーツなど)
たばこ・電子タバコは禁煙です。
アルコールやカフェインは自分がリラックスできる、日常を楽しめる程度はかまいません。
アルコールもカフェインも睡眠に影響するため、量と時間には気をつけましょう(カフェインは午後は控える。寝る前の飲酒は、中途覚醒の原因になるため控える)
スポーツは、特にハードなものや足場の悪いところのもの(フルマラソンや標高の高い山を登るとなど)でなければ基本的にOKです。調子が安定しているときには、楽しめるものを是非やりましょう!
飛行機も問題ありません。耳が痛くなるのは鼻や、鼻と耳をつなぐ耳管(じかん)の調子が悪いためなので、飛行機に乗る前に鼻の治療を受けると緩和します。もちろん海外旅行もOKです。
Q. 改善のために気を付けることはありますか?
睡眠を見直すと、めまいも改善する方が多いです。下記の項目のできそうな所から改善しましょう。
- 起床時間は、できるだけ一定にする(休日の寝だめは良くありません、ずれを2時間以内に)。就寝は、7時間程度の睡眠が取れる時間にする。
- 睡眠時間が短くなる場合は、午後の昼食後などに30分以内の昼寝や、眼を閉じて休む時間を入れる(PCやスマホを見ていては休めません!)
- 汗ばむ程度の運動や入浴の時間をとる(就寝直前ではなく、理想は約2時間前)
- 食事の時間を見直す。朝食も食べ、3食を均等に食べる、寝る直前に食べない。
- 寝る前に強い光を浴びない。寝る2時間前から、パソコン・スマホ・テレビ等を見ないようにしましょう!
出典
- 伏木宏彰・加茂智彦編集、角田玲子他執筆(2019)『前庭障害に対するリハビリテーション EBMに即した実践アプローチ』