コラボ作品紹介

2021年2月6日 − Written by きこいろ編集部

マークの1つは、ご自身の片耳難聴の日常についてWEB漫画などで長年発信してきた
デザイナーの片耳なんちょーキクチさんに作成をご依頼しました。

プロフィール

右耳が生まれつき聞こえない会社員。普段はデザイナーとして働く。大学3年のときに「片耳難聴の私の人生って面白いかも!」と、SNSに片耳難聴を題材にした漫画を投稿開始。大学の卒業制作では、片耳難聴の経験が元となり「見た目ではわからない困り事を可視化する」ことをテーマにアイテムを制作。

片耳難聴のSのマーク

制作コンセプト

single sided (片側)の「S」を
右耳と左耳の形を合わせて、「Single」の頭文字「S」になるようにデザインしました。

難聴側のをグレーアウトすることで、どちらが聞こえる耳かを示しています。

カラー展開が豊富にできるようなシンプルな形を目指しました。

マークを使う人へのメッセージ

このマークをきっかけに「相手へ難聴を説明する機会が持てた」、
「カミングアウトする勇気を持てた」という声が増えたら嬉しいと思っています。

行動を起こすユーザーの皆様を支えるマークになれば、と願っています。

マークを見たの人へのメッセージ

初めて見た人だとロゴにも見えるし、
何のマークかわからなくてあまり気に留めずスルーすることもあると思います。

ですが、もしユーザーから説明があったときにはぜひ興味を持って聞いていただき、
少しでも内容を覚えてもらえたら嬉しいです。

キクチさんミニインタビュー

さらに、キクチさんにとっての「伝えること」についてお話を伺いました。

まず、今回のマーク作成にあたり苦労したこと、面白かったことは何ですか?

“難聴であること”をどのレベルに落とし込んで示すのかが難しい点でした。明確に示しすぎると、「こんなにあからさまに示すのは抵抗があるなぁ」という当事者もいると思うので。

そのため初回提案では、“難聴であることを示すレベル別” に6案を提出させていただきました。振り切った案を考えるのは楽しかったです。

学生時代からご自身の片耳難聴をマンガにして「伝える」活動を始めたキクチさん。
きこいろのマーク企画のコラボをお願いしたいと思ったのは、そのプロセスを通し、得て来たものもあるのではと思ったからでした。ご自身の活動を経て、変化したことはありますか?

私自身、マンガを描く以前は他の片耳難聴者に会うことが一度もありませんでした。

もしかしたら居たのかもしれませんが、見た目ではわからないし、あまり積極的にカミングアウトもしなかったので、知り合えなかっただけかもしれません。

その後、共感者が欲しくて始めたマンガ投稿でしたが、広まっていく内に片耳難聴者が多くいることを知りました。

それからは「もしかしたらリアルの世界でもカミングアウトしたら仲間が見つかるのかも?」と思って知り合った人に少しずつ言うようにしています。

そうしたら「幼なじみが片耳難聴だよ」「知り合いの美容師が片耳聞こえないよ」など
仲間を発見することが増えてきました。

「自分で勝手に孤独になってたんだな〜」と気付いて、自分から行動して伝えることの大事さを感じています。

現在は、プロのデザイナーとして働き始めてからも、数年が経たれました。「伝える」「コミュケーション」をビジュアルでされるお仕事ですよね。ご経験を積まれる中で、大切にされていることはありますか?

“伝える”とは、“相手を思う”ということだと考えています。

実は、私は昔から「説明が下手」と親に言われてきました(笑)

なぜ下手かと言うと「ねぇねぇ聞いて!!」という熱意だけを相手にぶつけていたからなんです。自分の伝えたい熱意だけでは、コミュニケーションが一方通行になる…

そのことにデザイナーを志してから、やっと気付きました。

今は、相手の立場に立つことを大事にしています。
具体的には、頭をまっさらな状態にして他人になったつもりで「これで本当に伝わるか?」という自問自答を、何度も繰り返します。

そうすると「ここの言い回しは誤解を与えるから変えた方が良いな」とか「優先順位で考えたらこの箇所をもっと強調したいな」と冷静に分析でき、より相手に届きやすくなると思っています。

きこいろとも、的確で丁寧なやりとりをして頂いてしましたが、その裏には試行錯誤があったんですね。
今回作成いただいたキクチさんのマークも、ステッカーやデータ素材として2月末~提供予定です。お楽しみに!

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