2.メニエール病と似ている病気

Written by 角田 玲子

(1) 突発性難聴

初めての発作の時は「突発性難聴(とっぱつせいなんちょう)」と診断され治療が行われることもあります。
突発性難聴は原因不明の疾患であり、時間が経つと難聴が治らなくなるため、なるべく早期に治療を開始することが望ましいからです。

その後、聴力が変動したり、めまいを繰り返すとメニエール病の診断ができるようになります。
初回の突発性難聴の治療(ステロイドなど)がメニエール病に悪影響を及ぼすことはありません。

かなり時間が経ってから再び難聴やめまいが起こることもあり、どちらの耳の難聴であったか、急に聞こえなくなった時にめまいがあったか、突発性難聴の治療をして自覚的に聴力はどうなったのか(改善したか・しないか)などについて記録しておくと診断の助けになります。

(2) 前庭性片頭痛

以前から、メニエール病で頭痛持ちの方が多いことが知られていました。
最近では、頭痛持ち(特にズキズキ痛む片頭痛)とめまい発作が一緒に起こる方が「前庭性片頭痛(ぜんていせいへんずつう)」と診断され、頭痛の予防治療が有効であると言われています。
頭痛とめまいがいつ起きたかなど記録をつけると、診断に役立ちます。

片頭痛とメニエール病は同じような誘因(睡眠不足・運動不足・脱水気味・天候・ストレスなど)で症状が悪化することが多く、規則正しい生活(充分な睡眠・運動、ストレスを避けて適度な気晴らしをする)が有効です。

また、頭痛持ちの体質だから…と、イブやカロナール、ロキソニンなどの頭痛薬を飲んで済ませていませんか?
頭痛薬を飲みすぎる(月15日以上を3ヶ月以上)と、脳が痛みに過敏になり頭痛をさらに悪化させます(薬物乱用頭痛)。生活を見直したり、めまいの専門医頭痛の相談医に相談しましょう。

(3) 良性発作性頭位めまい症

繰り返すめまいの中で最も多いのが、良性発作性頭位めまい症(りょうせいほっさせいとういめまいしょう)です。内耳の前庭にある耳石(じせき)というものが原因で起こるため【耳石のめまい】とも言われます。
良性発作性頭位めまい症では、聴力は変化がありません。

頭を動かしたとき(朝起き上がったとき、寝返りを打ったとき、目薬やうがいで上を向いたときなど)にグルグルする回転性めまいが起こります。
一回のめまいはじっとしていると30秒~1分程度で治まりますが、頭を動かす度にめまいがするので、寝ている姿勢から起き上がれないこともあります。

起き上がったときにめまいがしたら、頭を動かさないようにして、一点を見つめてゆっくり数字を数えてみましょう(内耳からくるめまいは、眼を開けてじっと見ていると眼振が弱くなります)。100まで数えてめまいが止まるようなら良性発作性頭位めまい症の可能性が高いです。また実は、寝ている姿勢より座っている姿勢のほうが頭の動きが少ないので楽なことが多いです。

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