オージオグラムの読み方

Written by 岡野 由実

1. オージオグラムとは

オージオグラム(audiogram)とは、オージオ「聞こえ」のグラム「表」で聞こえの検査の結果を表す表のことです。耳鼻科で検査をすると、このように記録をします。

(このオージオグラムが手元にあると、自分の聞こえの把握に役立ちます。
言わなくても貰える場合が多いと思いますが、「控えておきたいので」と伝えればコピーを貰うことができます)

縦軸:音の大きさ(単位:dBデシベル)
上に行くほど、小さな音でも聞こえる。下に行くほど、大きい音でないと聞こえない。
横軸:音の高さ(単位:Hzヘルツ)
125Hz~8000Hzまで1オクターブずつ、7つの音の高さで検査をする。


音の大きさはdB(デシベル)という単位で表します。普段の話声の大きさは、大体60dBくらいです。
(デシベルは聞こえに問題のない若者を集めて、ギリギリ聞こえる小さい音の大きさを測り平均を出した値を0として作られた単位。マイナスの値だからといって「音がない」という意味ではありません)

難聴と診断されるのは、25dB以上です。
ただ、片耳難聴の場合、難聴側の耳の聴力が軽度難聴~中等度難聴だとしても、左右の聴力差が20dB以上あれば、難聴側は全然聞こえてないという実感になると思います。

音の高さはHz(ヘルツ)という単位で表します。ピアノの鍵盤の真ん中にあるラの音が440Hzです。
話声は以下のような高さと言われています。

  • 125~250Hz: 男性の話声
  • 250~500Hz: 女性の話声
  • 1000Hz~2000Hz: 子どもの遊び声

2. 気導聴力・骨導聴力とは

上記のオージオグラムに、マルバツ、コの字で表しているのは「気導聴力」と「骨導聴力」です。

気導聴力外耳~中耳~内耳までを通して聞いている音。聴力検査では気導聴力はヘッドホンで測る
骨導聴力外耳~中耳は通らず、側頭骨から直接内耳に聞いている音。聴力検査では、骨導端子を耳の後ろの骨に当てて測る

なぜ気導聴力と骨導聴力の両方を測るかというと、伝音難聴なのか、感音難聴なのか、混合難聴なのかを鑑別するためです。

  • 骨導聴力は正常で、気導聴力が悪い ⇒ 伝音難聴
  • 気導聴力も骨導聴力も同じくらい悪い ⇒ 感音難聴
  • 骨導聴力も悪いが、気導聴力の方がもっと悪い ⇒ 混合難聴

オージオグラムでの表し方

右耳左耳
気導聴力気導聴力(右耳)気導聴力(左耳)
骨導聴力骨導聴力(右耳)骨導聴力(左耳)

聴力検査の機械(オージオメーター)から出せる最大の音を出しても聞こえない場合、「スケールアウト」と言い、検査結果のマークにスケールアウト(右耳)スケールアウト(左耳)を付けます。

例として、上のオージオグラムを読むと
「右耳は、全ての音の高さで正常範囲に入っているため聞こえに問題はない。左耳の気導聴力が100dBを超えているので重度難聴。骨導聴力は、スケールアウトのため正確な値は分からないが、気導聴力も骨導聴力も同じように悪いので、感音難聴」ということが分かります。

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