2. 片耳難聴と音楽の楽しみ方
(1)聴覚のケア
難聴になった人の不安として、「聞こえる耳まで聞こえなくなったらどうしよう」というものがあると思います。
そのような不安を軽減し、聞こえる耳を守りながら音楽を楽しむためのヒントをご紹介します。
耳の細胞が大きな音によって傷つく事(騒音性難聴)を予防できます。
WHOや耳鼻科医が推奨する対策
音楽プレーヤーで聴くときは、
- 1時間聞いたら10~15分くらい耳を休める
- 普通の会話が聞こえる程度のボリュームにする
- 一定以上の音が出ないようリミッター機能のあるものにする
(プレイヤー最大音量の60%程度での使用を推奨) - ノイズキャンセリング機能のあるイヤホンを使い、雑音の中でも音量を上げなくていいようにする
ライブでは、
- 耳栓を使用する
- スピーカーから遠い位置に立つ
①音量の調整の仕方
お使いのプレーヤーによって制限機能があるものとないものがあります。
ここではスマートフォンで行える設定を紹介します。
iPhoneの場合
「ミュージック」→「音量制限」→「音量調整」

Androidの場合、本体機能には音量制限がないようですが、アプリを利用してリミッターをかけられます。また、機種によって(例えばXperia)音量を大きくしすぎると警告画面が表示されるものもあります。
②ライブ用耳栓
ただ遮音するのではなく、大音量を適正な音量にするための耳栓です。
(日々、大きな音に晒されるアーティスト自身も、プロテクトをして演奏をしています)
海外では、聴覚保護のためにライブではライブ用の耳栓をつけることが義務になっている州もあります。日本でも、アーティストがライブ用耳栓を配布し、安全に楽しむ工夫をする動きが広がっています。
参考: 「ライブ専用の耳栓」が世界中で拡大! 音はどう聴こえるの?
③ノイズキャンセリング機能(noise cancelling)
周囲の雑音を軽減するものです。元の雑音に対してそれを打ち消す効果のある逆位相の音を発生させ、騒音を低減する仕組みです。
ただし、周りの必要な音(例:電車のアナウンス、自動車の音…など)までカットされる場合もあります。周囲の音を取り込めるモデルを選択するなどして工夫しましょう。
また、独自の圧迫感や不快感を感じるという人もおり、合う・合わないがあるようです。
参考: 【2019年版】ノイズキャンセリングイヤホンのおすすめランキング。人気製品を比較
(2)モノラルオーディオ機能
「モノラルオーディオ機能」というものがあります。
それによって、ステレオで収録された音楽をモノラルに変換して聞くことができます。
iPhoneの場合
「設定」→「一般」→「アクセシビリティ」→「モノラルオーディオ」

Androidの場合
「設定」→「ユーザー補助」→「モノラル再生」
モノラル用のイヤホン
また、イヤホン側でステレオをモノラルに変換することもできます。
プレーヤーに「モノラル変換アダプタ」を経由して聞くものや、経由しない「モノラルイヤホン」というものがあります。
音楽アプリ
最近は、片耳難聴者のための音楽アプリも登場しました。
ステレオの楽曲を単純にモノラルに変換するだけでなく、左右のチャンネルを音場空間の中でミックスし、片耳難聴者が普段ヘッドホンを使わずに聞いている時のバランスをモノラルで再現するというものです。

(3)骨伝導イヤホン
伝音性難聴(外耳・中耳が難聴の原因となる小耳症や慢性中耳炎など…の場合)では、難聴側に骨伝導イヤホンを使うことができます。
鼓膜などを経由する気導の経路ではなく、骨を振動させて内耳まで直接音を届ける仕組みです。
骨伝導のイヤホンを使うと、難聴側からの音が伝わり、ステレオ感を得られます。
ただ、長く聞こえていなかった側の耳に音を入れることで疲れる、機器による装用感や相性もあるとの声もあり、試聴が必要です。
参考: 【2019年版】骨伝導ヘッドホンのおすすめ21選。周囲の音を遮らず安全