福祉や「聞こえ」に関するマーク

2020年9月7日 − Written by きこいろ編集部

福祉に関するマークが作成された背景や、
聴覚全般に関係するマーク、

さまざまな人が作成した片耳難聴のマークを紹介します。

現在きこいろでは、
「片耳難聴のオリジナルマーク」の作成に取り組んでいます(詳しくはこちら)

この記事の情報が、
今回のコンペに応募下さる方や、
マークを使いたいと希望する片耳難聴のご本人の参考になれば幸いです。

1. 福祉に関するマークとは

主に公的な機関等が作成したものを紹介します。

目的

  • 本人が使用:
    障害等のために周りの理解や配慮を必要とすることの目印
  • 周りが使用:
    障害等への配慮があることを示す企業団体や施設などの目印

※「聴覚障害者標識」等の自動車標識を除き、
任意の協力を促すもので、強制力や法律上の定めがあるものではありません。

作成者

政府・行政・各当事者関係団体等が作成。
その数は、年々増え続けています。

※交付手続きを定めたり、商標登録や著作権登録などをしているものもあります。

障害福祉関連のマーク例
左:ヘルプマーク、右上:ハート・プラスマーク、右下:国際シンボルマーク

背景

  • 日本では、1980年代~
    「シンボルマーク」が広く使用されるようになったと言われています。
    優先席(当初はシルバーシート)が使われ出したのもこの時期。
    当時の背景には、
    国連の宣言「国際障害者年」を契機に障害福祉への関心が高まったこと、
    また、社会全体のモラル低下に対する問題意識があったと考えられています。

  • 最近は、日韓ワールドカップや東京オリンピック・パラリンピックに向け、
    公共交通/施設のバリアフリー化も推進されています。
    その中で、直感的に理解できるような「標準案内用図記号(ピクトグラム)」の普及が進められています。
2020年に追加されたピクトグラム
左:クールダウン室、右上:オールジェンダーの手洗い、右下:介助用ベッド
  • 関連するものには、
    「アウェアネスリボン」があります。
    障害や病気等に留まらず、社会的な課題に対し賛同の表明や啓発を目的とするもの。
    様々なカラーリボンが世界各地の団体から出されています。
アウェアネスリボンの一例

時代と共に様々な人が声をあげ、取り組みの一つとしてシンボルやマークによる可視化が進む一方で、課題もみられます。


適切なマークの利用と、
マークだけに留まらない多様な立場にある人の相互理解や、
過ごやすい生活環境の構築が求められています。

聞こえに関係するマーク

片耳難聴のみを示す公で使われているシンボルマークはありませんが、
「聞こえ」に関係する様々なマークがあるのをご存知ですか?

主に、パブリックな機関から作成されたものを紹介します。

各マークへの問い合わせや詳細のガイドラインは、管轄先をご覧ください。

「聴覚障害者標識」

道路交通法第71条
出典:自動車運転者が標識するマーク

  • 周囲の運転者:
    「聴覚障害者標識」を付けた車に、
    やむを得ない場合を除き、幅寄せ・割込みをしてはいけません。
  • 標識をつけて運転する人:
    2008年から、補聴器装用で10m距離の警報機が聞こえない両耳難聴の場合にも
    聴覚障害者標識やワイドミラーをつけ、運転免許を取得できるようになりました。

  • ●運転免許取得条件:
    ・片耳難聴は、条件に該当しないため、検査・申請、標識やワイドミラーの設置は不要。
    特に心配ごとがある場合には、各自治体の運転免許センターの「適正相談」まで。
    出典:適性試験の合格基準.警視庁


耳マーク

視覚障害のある人の「白い杖」などと同様に、「耳が不自由です」という自己表示が必要ということで、考案されました。

  • 聞こえにくい人が提示:コミュニケーションの配慮などの理解を求める
  • 窓口などで掲示:手話や筆談など必要な援助を行うという意思表示

手話マーク・筆談マーク

両耳が聞こえる人とのコミュニケーション手段は音声が基本ですが、
ろう者等は音声に代わる、視覚的な手段でのコミュニケーション方法、手話や筆談が必要なことを一目で分かるように示しました。 

  • 手話マーク
    ろう者等から提示:「手話で対応をお願いします」
    窓口等で掲示:「手話で対応します」   
  • 筆談マーク
    筆談を必要としている人:「筆談で対応をお願いします」
    窓口等で提示:「筆談で対応します」


補助犬マーク

身体障害者補助犬同伴の啓発のためのマーク。

身体障害者補助犬法に基づき訓練・認定されている盲導犬、介助犬、聴導犬の同伴を施設側は受け入れる義務があります。


  • ●聴導犬:
  • 生活の中の必要な音の情報を伝える。日本では約70頭が働く。
  • 中~重度の聴覚障害を持ち、条件を満たす方が地域生活支援事業給付として利用。



片耳難聴のマーク・ツール

困りごとに対する解決策や有効なツールは、一人一人その時々で異なるでしょう。

目的や好みに応じて選択ができると良いなと思います。

ここでは、個人が作成しているマークを紹介します。
(以下50音順・敬称省略)


  • 「片耳難聴の概要を説明したリーフレット」が必要な方は、こちらから。
  • 「家族のための片耳難聴児者へのコミュニケーション配慮のリーフレット」は、こちらから。

片耳難聴だけでなく、難病や自閉症、パニック障害、アレルギー等のオリジナル缶バッジやキーホルダーを販売しています。


デザイン自作サイトで作成するための方法と雛形を提供。片耳難聴だけでなく、様々な聞こえにくさや、聞こえにくさを補うために相手にどんな工夫をしてほしいのかのメッセージカードがあります。

「片耳が聞こえないことをさりげなく伝える可愛いイラストがほしい」という依頼を受けて作成、販売。男女隔たりなく持っていただけるよう、中性的なキャラクターにしたそうです。

自身も片耳難聴やめまいを持つ経験から、グッズにより相手に理解いただき、少しでも片耳難聴を伝える負担が軽減されたらという思いで作成販売されているそうです。

バッジ・キーホルダー.作成者:Bworks

大袈裟すぎず、わかりやすく、大人も子どもも身につけやすいマークを作成。片耳難聴だけでなく、マタニティマークや花粉症などの幅広く缶バッジやキーホルダーを販売しています。

視認を容易に。自らの障害・特性・個性を社会に対して表現していく自己表明用として販売されています。


  • ・片耳難聴のマーク/グッズ紹介情報は、随時追記予定。情報は、こちらよりお知らせください。
  • ・作成者さまに確認の上で掲載しています。
    ・当会からのマークの推奨・効果や作成者のその他情報の信頼性等を保証するものではないことをご了承ください。

この記事や、マーク公募のプロセスを通して、
片耳難聴や聞こえの多様性、
また、人の多様性や「見えにくいもの」「他者とのコミュニケーション」といったことについて、
皆さんと考えるきっかけとなれば、と思います。

参考情報・出典

  1. 「国際シンボルマーク」
    すべての障害をもつ人々が利用できる建築物や施設であることを示す世界共通のマーク。
    建築物にマークを設置する際は、国(バリアフリー新法)や自治体(まちづくり条例)などの設置基準にもとづき使用することを推奨。
    個人の車で表示しても、障害者専用駐車場が優先的に利用できるなどの法的公力はない。
    使用指針国際シンボルマーク使用指針.日本障害者リハビリテーション協会
  2. 「ヘルプマーク」
    援助や配慮を必要とする人が、周囲に配慮を必要としていることを知らせることで、援助を得やすくなるように作成された。身体機能等には、特に基準を設けられていない。
    想定される支援には、電車等での座席を譲ったり、災害時の安全に避難するための支援などがある。
    ヘルプマークガイドライン.2012作成.東京都福祉保健局障害者施策推進部計画課
  3. 「ハート・プラスマーク」
    身体内部に障害がある人を表す。心臓、呼吸機能、じん臓、膀胱・直腸、小腸、肝臓、免疫機能など。
    外見から見えにくいが内部障害の方の中には、電車などの優先席や、障害者用駐車スペースの使用が必要な場合もある。
    特定非営利活動法人ハート・プラスの会
  4. 「標準案内用図記号」
    対象物・概念または状態に関する情報を、言語や言語によらず見て分かる方法で伝える図形。
    JIS規格化(日本産業規格)されている。
    標準案内用図記号ガイドライン. 公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団
  5. 「カームダウン・クールダウン」
    気持ちの不安定さ・パニックが起きることのある知的障害や発達障害、精神障害などを主な対象として検討された、一時的に休めるスペースに掲示するピクトグラム。
    Calm down,cool downについて. 公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団
  6. 「世界のサインとマーク」世界文化社.2002



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