片耳難聴の本棚【特別企画】読書会イベントレポ―ト

2020年10月9日 − Written by きこいろ編集部

両側性難聴が登場する作品

聴覚障害というと
両耳が全く聞こえず、手話を使う人をイメージする人も多いのではないでしょうか。

フィクション作品の視覚表現としても、描きやすいのかもしれません。

しかし、コミュニケーションの方法は
聞こえ方や育った環境等でも異なります。

作中でも、筆談を使う人、口話や読話を使う人、補聴機器を使う人など様々に登場します。

以下、2000年以降公開のメディアミックス作を中心にピックアップしました(50音順)

「コウノドリ」鈴ノ木ユウ 2017

原作は講談社モーニングより出版、TBSより放映

産婦人科を舞台にした医療漫画。

聴覚障害を持つ人の出産についても描かれ、
医療現場での情報保障や意思疎通支援についても考えさせられる一作です。

原作では、18巻でろうの妊婦、
TV化ではシーズン2第一話で、ろうあの夫婦を志田未来・泉澤祐希が演じています。

「聲の形」(こえのかたち)大今良時 2011

原作は講談社マガジン、2016年アニメ映画化

耳の聞こえる少年と、耳の聞こえない転校生のストーリー。

作者の不登校や、母親が手話通訳であった経験が作品にも反映されたそうです。

ノベライズや、10カ国以上の海外版も出版、
インクルーシブ教育やいじめ防止をテーマに、文部科学省とのタイアップや、
一般財団法人全日本ろうあ連盟の監修による道徳教材として、2015年に30分のショートドラマ化もされています。

「ひだまりが聴こえる」文乃ゆきの 2014

原作コミックはプランタン出版2017年映画化

ボーイズラブのコミックシリーズ。

「ひだまりが聴こえる」2014
「ひだまりが聴こえる -幸福論-」2016
「ひだまりが聴こえる -リミット-」2017

作者は、難聴やろうの友人がおり
「聴こえないのは、お前のせいじゃないだろ」と言うシーンが浮かび、話を作り始めたそうです。

映画では、日本語字幕のあるバリアフリー上映も一部映画館で実施されていました。

「ふつうな僕らの」湯木のじん 2019

集英社マーガレット掲載


高校生の椿が好きになった先輩は、子どもの頃に両耳が聞こえなくなっていた。

先輩と仲良くなろうとする椿だが、先輩がノートに書いた言葉は…。
「君は生きるか死ぬかみたいな経験をして、それに比べたら(略)僕が耳が聞こえないっていうこともささいなことで。(略)でも君は、元気で明るい正しいことを言える一番遠い世界にいる人だった」

その恋の行方は…。現在連載中。

「ゆびさきと恋々」森下suu 2019

講談社デザート掲載

生まれつき両耳が聞こえない大学生の雪。
国際交流のサークルで出会った先輩は、コミュニケーションの壁も超えてーー

作者は、以前から手話を用いた作品に関心があり
「道徳の教科書のようではなく…とにかく読まれることが大事」と話されています。

作中では、大学講義のパソコンテイク(音声の文字提示をパソコンで行う)の一コマや、
読話(口や表情などを読む)の難しさを視覚的にした表現も描かれています。

現在連載中。

「レインツリーの国」有川浩 2006

原作は角川文庫より、2015映画化

恋愛小説。
作者の夫が突発性難聴で病院にかかった経験があったのをきっかけに制作した、と書籍のあとがきで記しています。

2007年ラジオドラマ化、
映画化にあたり、文部科学省とタイアップされ啓発活動ページが作成されていました。

同作者シリーズ作「図書館内乱」にも、中途難聴を持つ人が登場しています。
この作品もドラマ化されており、
中途難聴を持つ中澤役を演じた土屋太鳳さんは、ご自身の家族が突発性難聴であるとのことでした。



この他にも、両側性難聴が登場する作品やノンフィクションは沢山あります。
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