働く人の片耳難聴Cafe【初開催】イベントレポート

2020年9月2日 − Written by きこいろ編集部

しゃべり場、片耳難聴Cafe 通算18回目!

今年度は、対面ではなくオンラインビデオ通話にて開催中。

毎月の開催枠を増やし、
「何でも話せる」会と、
「特化したテーマ」を深く掘り下げる会を行っています。

今回のイベントレポートでは、
主に「仕事」についての会の様子を紹介します。

雑談が聞き取りにくい、電話するとき、職場環境など
困りごとと、対応策を皆で出し合いました。

8月の片耳難聴Cafe

  • 13時~15時
    「テーマフリー」
    参加者:本人5名、お子さんの立場1名
  • 16時~18時
    「10代~20代/学生の会」
    参加者:高校生~大学院生の本人6名
  • 20時~22時
    「仕事について」
    参加者:本人6名、ご夫妻での参加1組

参加された方々

参加者は、20代~50代の全国津々浦々から。

職種は、
教育・看護・福祉など対人援助職、事務、人材関係、設計、海外出張がある方など。

片耳難聴歴は、
生まれつき・子どもの頃からの片耳難聴の方や、数年前・最近聞こえにくくなった方、
めまいや耳鳴りがある方など原因や症状も様々。

仕事上での困り度も、三者三様でしたが、
キャリアも年代も関係なく、「共感」と「新発見」、

片耳難聴トークで盛り上がりました。

主に話されたこと

雑談やヒソヒソ話が聞こえにくい

  • 自分がいる職場では、女性のグループに特有なのか、雑談が必須項目…。
    片耳聞こえないと伝えてあるし、聞くと教えてはくれるし、わざとではないと思うが、輪に入りにくい感じがある。
    「片耳聞こえないって言ってるじゃん」と怒ったことがある。
    その後、協力してくれる人が現れた。
  • 雑談の中での決め事が多くて困る。
    イベントなど流動的・雑音下・広い場所という聞き取りにくい環境の業務も多く、
    なんとなくの話の中で業務変更があると、ついていけないことがある。
    転職する前は大丈夫だったから、今いる業界・職場の文化や環境が特殊なのかもしれない。
  • 「分からない時は、そのままにしちゃダメだよ」と周りの人から言われたことがある。
    分かっていると思われるだけでなく、
    人の悪口であれば、賛同している訳ではないのに言ったと見なされてしまうから。

 →Tips (コツ・スタンス・テクニック)

  • 重要な話は、はっきり伝達しない側にも問題があるのかも。
  • 雑談なら、聞こうと思わない。
    仕事のことじゃないし、気にしない。
  • 仕事のことだったら、
    「密の時代」だけど近くに言って、聞こえる耳側で聞くようにしている。
  • 「ちょっと待って、話を整理しようよ」と自分のペースにしてしまう。
    両耳聞こえる人にとっても、話が分かりやすくなると思うから。
    雑談を中断させるのは、盛り上がってるのに水を差して申し訳ないと感じるけど、
    全体のためにと思えば、引け目も感じない。
  • 味方や仲間をつくる。
    全員じゃなくても、まずは先輩や上司などキーとなる人に理解して貰う。
    自分以外の情報伝達や業務が分からず困っている人(新卒者や外国語圏の人など)と一緒に
    情報を共有できるように働きかける。

利き手・聞き耳が同じ人の電話メージ
(福岡での片耳難聴Cafe)

電話のとき

  • 通話自体は、聞こえる耳で出来る。
    でも、通話時に、周りの人から話しかけられると
    必然的に難聴側で聞くことになり困る。
  • 難聴側から話しかけられているのにも気づかず、
    「そのまま切らないで、次こっちに回してね」と言われていたらしいが
    電話を切ってしまうときがあった。

 →Tips (コツ・スタンス・テクニック)

  • 両耳が聞こえる人でも、電話をしながら反対の耳で別の人と話すのは難しい。
    電話を「すみません、少しお待ちいただけますか」と一旦止めて、
    周りの人と要件を話してから、「お待たせいたしました」と電話を再開する。
  • 付箋や、ホワイトボードを電話近くに用意。
    周りの人に書いて貰えるようにした。

音の方向感が分からない

  • 多方向からの指示を聞いてスピーディーに動く職場にいる。
    反応できるように、周りの動きが視界に入るポジションを取ったり、顔をあげるように意識しているが、
    常にアンテナを張っているのは大変。
  • どこから呼ばれているか分からないと、
    周りの人には片耳難聴だと伝えていても「無視している」と思われてしまうことがある。

→Tips (コツ・スタンス・テクニック)

  • 周りの人に片耳難聴で気付かない可能性を伝えておいて、
    肩を叩いたり、手を挙げて貰ったり、「左右」で呼んでもらう。
  • 音と同時に点灯するランプや視覚情報で判断する(電話・タイマー・呼び出しなど)
  • 小さい規模、静か目、動きが少ない、周囲が協力的など職場環境を選ぶという手もある。
  • クロス補聴器を試したが、方向感はあまり改善されなかった。

年齢やキャリア状況による要素

  • 聞こえにくいと「言葉尻から推測」「場面・文脈から推測」して
    「こうですか?」と当てに行くテクを使えるが、
    初めての職場や業務では、予測スキルも育ってなくてやりにくい。
  • 新卒や若手なら、聞こえに限らず「分からない」前提だから、周りもフォローがしやすそう。キャリアを重ねるほど「できるはず」の前提で、
    「ここまで伝えるのも、失礼なのでは」とあえて言わないのもありそう。
  • 役職があったり、主導権を取れる立場にいれば、
    自分に情報を集めたり、聞こえにくくても仕切りでカバーできるが
    ポジションによってや、入ったばかりの職場で業務・慣習・人間関係が把握できていない状態では、それが難しい。

コロナ渦

  • コロナ渦で、マスク・パーテーションで聞き返し増加。
    聞こえる人も、聞こえないから聞き返しやすいかもしれないけど。

感想

一部を紹介。

  • 何となくいつも感じていることを、 言語化したことで
    自分自身が納得できるいい機会になった。
  • 同じ片耳難聴という境遇の人からのアドバイスは、素直に受け取ることができた。
  • 他の人の話を聞いて、
    自分が頑張ったからだけではなく、
    周りの人のサポーティブな環境があるから悩まずやれているんだなと思った。
  • 「片耳難聴だけの問題」「自分だけの問題」と思わず、
    他にも理由があるかも知れない、工夫が周りの人や全体のためにもなるかも知れない
    という視点を持つと、建設的に考えられることに気づいた。
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著者紹介