しゃべり場、片耳難聴Cafe 通算18回目!
今年度は、対面ではなくオンラインビデオ通話にて開催中。
毎月の開催枠を増やし、
「何でも話せる」会と、
「特化したテーマ」を深く掘り下げる会を行っています。
今回のイベントレポートでは、
主に「仕事」についての会の様子を紹介します。
雑談が聞き取りにくい、電話するとき、職場環境など
困りごとと、対応策を皆で出し合いました。
8月の片耳難聴Cafe
- 13時~15時
「テーマフリー」
参加者:本人5名、お子さんの立場1名 - 16時~18時
「10代~20代/学生の会」
参加者:高校生~大学院生の本人6名 - 20時~22時
「仕事について」
参加者:本人6名、ご夫妻での参加1組

参加された方々
参加者は、20代~50代の全国津々浦々から。
職種は、
教育・看護・福祉など対人援助職、事務、人材関係、設計、海外出張がある方など。
片耳難聴歴は、
生まれつき・子どもの頃からの片耳難聴の方や、数年前・最近聞こえにくくなった方、
めまいや耳鳴りがある方など原因や症状も様々。
仕事上での困り度も、三者三様でしたが、
キャリアも年代も関係なく、「共感」と「新発見」、
片耳難聴トークで盛り上がりました。
主に話されたこと
雑談やヒソヒソ話が聞こえにくい
- 自分がいる職場では、女性のグループに特有なのか、雑談が必須項目…。
片耳聞こえないと伝えてあるし、聞くと教えてはくれるし、わざとではないと思うが、輪に入りにくい感じがある。
「片耳聞こえないって言ってるじゃん」と怒ったことがある。
その後、協力してくれる人が現れた。 - 雑談の中での決め事が多くて困る。
イベントなど流動的・雑音下・広い場所という聞き取りにくい環境の業務も多く、
なんとなくの話の中で業務変更があると、ついていけないことがある。
転職する前は大丈夫だったから、今いる業界・職場の文化や環境が特殊なのかもしれない。 - 「分からない時は、そのままにしちゃダメだよ」と周りの人から言われたことがある。
分かっていると思われるだけでなく、
人の悪口であれば、賛同している訳ではないのに言ったと見なされてしまうから。
→Tips (コツ・スタンス・テクニック)
- 重要な話は、はっきり伝達しない側にも問題があるのかも。
- 雑談なら、聞こうと思わない。
仕事のことじゃないし、気にしない。 - 仕事のことだったら、
「密の時代」だけど近くに言って、聞こえる耳側で聞くようにしている。 - 「ちょっと待って、話を整理しようよ」と自分のペースにしてしまう。
両耳聞こえる人にとっても、話が分かりやすくなると思うから。
雑談を中断させるのは、盛り上がってるのに水を差して申し訳ないと感じるけど、
全体のためにと思えば、引け目も感じない。 - 味方や仲間をつくる。
全員じゃなくても、まずは先輩や上司などキーとなる人に理解して貰う。
自分以外の情報伝達や業務が分からず困っている人(新卒者や外国語圏の人など)と一緒に
情報を共有できるように働きかける。
- 片耳難聴の場合、
カクテルパーティー効果や両耳スケルチ効果などが得られず、 - 複数人での雑談や賑やかな場で聞き取りにくいことがある。
- (詳細「片耳難聴が聞こえにくい理由:両耳聴効果」)

(福岡での片耳難聴Cafe)
電話のとき
- 通話自体は、聞こえる耳で出来る。
でも、通話時に、周りの人から話しかけられると
必然的に難聴側で聞くことになり困る。 - 難聴側から話しかけられているのにも気づかず、
「そのまま切らないで、次こっちに回してね」と言われていたらしいが
電話を切ってしまうときがあった。
→Tips (コツ・スタンス・テクニック)
- 両耳が聞こえる人でも、電話をしながら反対の耳で別の人と話すのは難しい。
電話を「すみません、少しお待ちいただけますか」と一旦止めて、
周りの人と要件を話してから、「お待たせいたしました」と電話を再開する。 - 付箋や、ホワイトボードを電話近くに用意。
周りの人に書いて貰えるようにした。
- ・最近は、こんな便利グッズも。
- 腕に巻いて使用できるメモ「ウェアラブルメモ」
- ・その他電話での工夫
参考記事「片耳難聴と仕事:工夫」

音の方向感が分からない
- 多方向からの指示を聞いてスピーディーに動く職場にいる。
反応できるように、周りの動きが視界に入るポジションを取ったり、顔をあげるように意識しているが、
常にアンテナを張っているのは大変。 - どこから呼ばれているか分からないと、
周りの人には片耳難聴だと伝えていても「無視している」と思われてしまうことがある。
→Tips (コツ・スタンス・テクニック)
- 周りの人に片耳難聴で気付かない可能性を伝えておいて、
肩を叩いたり、手を挙げて貰ったり、「左右」で呼んでもらう。 - 音と同時に点灯するランプや視覚情報で判断する(電話・タイマー・呼び出しなど)
- 小さい規模、静か目、動きが少ない、周囲が協力的など職場環境を選ぶという手もある。
- クロス補聴器を試したが、方向感はあまり改善されなかった。
- ・音源定位
左右の耳から入ってくる音の時間差や強さの微妙な違いが分からないため、
音源の位置を特定できない。 - (詳細「片耳難聴が聞こえにくい理由:両耳聴効果)」
・クロス補聴器
(詳細:「片耳難聴に使える補用機器」) - (参考:補聴器相談医、認定補聴器専門店)

年齢やキャリア状況による要素
- 聞こえにくいと「言葉尻から推測」「場面・文脈から推測」して
「こうですか?」と当てに行くテクを使えるが、
初めての職場や業務では、予測スキルも育ってなくてやりにくい。 - 新卒や若手なら、聞こえに限らず「分からない」前提だから、周りもフォローがしやすそう。キャリアを重ねるほど「できるはず」の前提で、
「ここまで伝えるのも、失礼なのでは」とあえて言わないのもありそう。 - 役職があったり、主導権を取れる立場にいれば、
自分に情報を集めたり、聞こえにくくても仕切りでカバーできるが
ポジションによってや、入ったばかりの職場で業務・慣習・人間関係が把握できていない状態では、それが難しい。
コロナ渦
- コロナ渦で、マスク・パーテーションで聞き返し増加。
聞こえる人も、聞こえないから聞き返しやすいかもしれないけど。
#透明マスク の作り方の動画をシェア!#withコロナ
— きこいろ|片耳難聴のコミュニティ (@kikoiro) May 4, 2020
マスクをすると、口元や表情が見えなくなります😷
口の形・表情で聞こえ補完する聴覚障害を持つ方もいます。
聞こえる人も、表情が伝わると
コミュニケーションしやすくなるかも?
伊丹市広報課よりhttps://t.co/BC4gV7lAaO pic.twitter.com/8RLgvs6uOI
感想
一部を紹介。
- 何となくいつも感じていることを、 言語化したことで
自分自身が納得できるいい機会になった。 - 同じ片耳難聴という境遇の人からのアドバイスは、素直に受け取ることができた。
- 他の人の話を聞いて、
自分が頑張ったからだけではなく、
周りの人のサポーティブな環境があるから悩まずやれているんだなと思った。 - 「片耳難聴だけの問題」「自分だけの問題」と思わず、
他にも理由があるかも知れない、工夫が周りの人や全体のためにもなるかも知れない
という視点を持つと、建設的に考えられることに気づいた。

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