「学生×先輩社会人のお仕事相談会」 イベントレポート

2021年8月22日 − Written by きこいろ編集部

「学生のうちに、”片耳難聴と働くこと” について知る機会が欲しい」という学生当事者の声を受けて実施した「学生×先輩社会人のお仕事相談会」@オンライン。

毎月行っている片耳難聴Cafeの特別企画です。

幅広い分野で働く20~30代の片耳難聴の先輩社会人をゲストにお招きし、交流しました!

当日の先輩ゲスト

  • 医療職(医師、理学療法士)
  • 公務員(警察官、地方自治体職員)
  • 対人職(商社、まちづくりコーディネーター)
  • 非対人職(エンジニア、人事担当)

参加者も、中学3年生から就職活動中の大学生や、この春から働き始めた方など様々。

全体でお話を聞く時間と、小グループで話し合うブレイクアウトタイムがあり、
具体的な悩みや漠然とした思い、本音を交えた対話が繰り広げられました。

当日の投影スライド

この記事では、1万文字!とビックボリュームでお送りします。
「参加できなかったから知りたい」という声に応えて、詳細に記載しました。

参考までに、関心のある箇所をチェックしてみてくださいね。

前半:体験談

各領域を代表して1人ずつ、ご自身の体験談を発表していただきました。

1.医療職(医師の福岡さん)

今年から研修医として勤務しています。幼少期から原因不明の左耳の難聴です。

大学卒業までは友達にも片耳難聴であることを明かしていませんでしたが、採用試験の時から開示するようになりました。職場に伝えるときは若干緊張しましたが、周りも医療者だからか、受け止め方もフラットで、聞こえるように配慮してくれています。

2年後に診療科が決まります。薬処方中心の科もあれば、1人で作業することの多い放射線科なども選択肢が広くあり、2年の間に自分に合う場所を探せるのは良い面だと思います。

医師は個人情報を扱うことが避けられません。他の先生と話す場合も他の患者さんに聞こえないように小声になります。もし難聴側で言われて聞き逃してしまうと治療方針に関わります。また、聞いたことのない単語だったり薬剤の使用量など、文脈からの推測などでカバーできないこともあります。

復唱したり、数字であれば手でジェスチャーをしたり、工夫しています。わからないことはその場で聞き返したり、わからない言葉はより聞き取りにくくなるので、予習復習をちゃんとしたりします。

工夫の一つとして、就職したこの4月から「クロス補聴器」を装用しはじめました。初めて補聴器を使っています。聞こえない側に指導の先生が立たれるようなシチュエーションでは、クロス補聴器を着けています。両耳で40数万円と最高グレードの補聴器にしました。私の場合は着けてよかったと思います。

2. 対人職(商社勤務の鈴木さん)

東京本社の総合商社のファッション部門に勤めています。

先天性の左の片耳難聴で原因不明、平衡感覚は少し苦手かなと感じることがありますが、精密検査はしていません。小学3年の時に外耳の整形手術をしたものの、手術で難聴改善となったわけではないです。

学生時代には、学生外交官として初対面の人と交流することで日米外交したり、インターンシップでショップの販売職として、常に100人くらいの販売員の声がインカム間を飛び交う職場環境を経験しました。

今の会社は世界をフィールドとしており、いわゆる「ダイバーシティ(多様性)」が進んでいます。”違って当たり前” のマインドです。入社後、上司やチームメンバーに伝えましたが、特別視されることがない、逆に言えばケアされる印象も特にない感じです。

難聴で困ることといえば、取引先とのちょっとしたコミュニケーションです。仕事柄、取引先の接待がとても多い職場で、情報戦になることが多いので、指示を聞き逃さないことは必須です。気を張るし、疲れがちにはなります。

工夫は、有利なポジションを取るのが難しくて困ることもありますが、聞こえにくいシチュエーションではアシスタントから後ろからメモを差し入れてもらうなど、様々な方法を模索しています。会議では、後から聞き返せるようにボイスレコーダーを使うこともありますが、録音NGな内密な商談もあります。協力者を増やすことは大切です。

相手とのやり取りにおいても、真剣に聞きたいという姿勢を全身で表現すれば相手に伝わり、何度でも聞き返しできる関係性を築けると思っています。

3. 公務員(自治体職員のゆーさん)

公務員として今春から新卒採用となりました。

先天性の小耳症(しょうじしょう)と外耳道閉鎖症(がいじどうへいさしょう)で、耳介の形や耳穴がなく、左耳が伝音性難聴です。
特段の治療はしていないのですが、 10と11歳のとき2回肋骨を使った手術を経験しています。

学生時代にアルバイトの仕事を選ぶときは、聞こえにくい環境や聞こえにくさがネックになるような仕事は選ばなかったです。また、私は小耳症で耳の形が人と違うため、耳を見せるような帽子をかぶったりする制服を避けていました。

学生時代までは周りの人にはほとんど言わずに過ごしてきましたが、公務員の採用試験の最終合格後、意向面談で苦手なこととして開示しました。

公務員といえば窓口の職場が多いのかなと思われるかもしれませんが、私は内勤部署で、普段は市民の方と関わらない環境で書類審査の仕事をしています。意向面談を受けた人事の配慮の結果かどうか不明ですが、役所は多岐にわたる部署があるし、障害者採用もあり、様々な方が勤めています。片耳難聴だから浮いたり特別視もありません。

着任後は、職場の同じフロア全員へ自己紹介する時に伝えました。ただ、片耳難聴のことを意識しているのは同じ係のメンバーくらいで、他の人は忘れてるのかなと思うこともしばしばです。

工夫としては、座席を左端にしてもらい、聞こえる右側でやりとりしています会議室など環境が変わっても、上座下座に関係なく聞こえるように左端を定位置にしてもらっています。
また、フロアの人には視界に入って話しかけるようにお願いしているのですが、忙しい職場なので忘れられていることもあります。
ただ、自分が気が付いていないときは周囲が「喋りかけてるよ」と教えてくれたり、フォローしてくれて助けてもらっています。

4. 非対人職(エンジニアのまいさん)

現在、ニュージーランドに住んでいます。
先天性小耳症に伴う外耳道閉鎖で、物理的に音が聞こえない状態です。

基本的には右耳の片耳難聴ですが、左耳の方も通常範囲に収まってはいる程度の軽い難聴です。小4・小5の頃に真珠腫もあっての外耳道形成手術をしました。ただし手術による聴力の回復には至っていません。

もともと文学部だったのですが、就職活動を通じてSE(システムエンジニア)がいいなと思うようになり、未経験オーケーの企業に入りました。

5年半勤めた後、障害者支援ボランティアでイギリスに渡りました。その後、日本に戻って契約社員をしたり、対面の仕事をしたいと思い写真の講師もしていました。

海外で仕事したい思いもあったので、31歳でニュージーランドへ渡り、ワーキングホリデーや現地の学校で知識を身につけました。現在も現地でSEとして働いています。

周囲への開示については、自分で言った方が便利な時には開示しています。採用してもらった後に伝える時もあれば、誰にも知らせないまま辞めた会社もあります。

業種的な特徴としては、不特定多数の方と話すことが少ないこと、声のトーンもそんなに大きくないのでストレスは少ない方と思います。パソコンで作業している時間、仕事上のコミュニケーションがたとえ隣に座っていてもチャットでのやりとりで、最初はなぜ?と思ったけれど慣れれば便利です。

相手の声が小さくて、何と言っているか聞こえにくい時には、小さなミーティングルームに移動させてもらってお話ししたり、打ち合わせ中は声が聞こえる位置へ移動したりと工夫しています。

ブレイクアウトタイムや質疑応答で出たお話

グループや全体の場で上がった参加者の質問に、何人かの先輩にご自身の体験をもとに答えてもらいました。
一部を紹介します。

Q. 仕事を選ぶときに片耳難聴のことは考えた?

A.

  • 耳のこと以外でも「自分の特性」ってあります。自分の特性を全体的に捉えることが大切だと思います。
    耳が聞こえなかったらコミュニケーションの少ない仕事、なら事務系の仕事がいいかな、という考え方もあると思います。
    ただ、たとえば、自分なら雑な性格で緻密な仕事ができないと思っているので。
    片耳難聴と雑な性格さを天秤にかけた時、努力しても苦手だと感じる事務仕事でミスするよりは、
    人と関わる対人職は、聞こえは確かに大変さもあるかもしれないけれども、
    人と関わるのがやっぱり好きだし、大変でも工夫しながら頑張ろうと思えるし、選んで良かったなと思っていますね。
  • 自分は、可能性を広げておくこと、自分で納得できる選択が大事だと思います。最初から自分で出来ないとジャッジして選択肢を消さないことが大事だと思います。
    選択肢は色々あるじゃないですか。
    納得いくまで考えたいという気持ちがあれば、条件を超えるための方法を調べてみるとか。全ての仕事を知ることはできないので、時間との兼ね合いですが、自分が好きなこと、興味をきちんと検討して後悔しないようにすることだと思います。
    何年も先、いざ就職する時には医学も進歩するし、職業自体も変わる面があるので、好きなものを心に留めてキープしておくみたいな形で。

Q. 企業選びの工夫ってある?

A.

  • 社風・企業文化、入社して悩むことはあると思うけれど、難聴に限らず、サポートしてくれる文化かどうか、育成に力を入れているか、何かあった時に他の道(部署、チーム)を探してくれるとか、従業員の多様性をどう考えているか、意識してもいいのかなと思います。
    人それぞれなので参考程度になるのですが、配属への配慮がどの程度されるかどうかや、在宅勤務制度の活用ができるか、困ったときに、社内に相談できる体制があるかどうか。
    相談体制では、一定の従業員数がいれば産業医(職場の健康管理を行う医師)は必須だったり、外部でも産業カウンセラー(職場の心の健康ケアを行う支援職)などの会社で提携しているところもあります。

Q. 片耳難聴だから/にかかわらず、学生時代にやっておいた方が良いことはありますか?

A.

  • 片耳難聴に限らず、学べることはなんでも学んでおいたほうがいいですね。
    たとえば、私は職場柄、事務作業が多く、エクセルを結構ちゃんと使わなきゃいけなくて。PCの勉強は全般的にしておいた方がよかったですね。
    自分自身、コロナ禍が大学4年生の時で出来ないことがたくさんあったけれど、仕事を始めてからだと時間がなくなるので、学生の時間があるうちに色々チャレンジしておいたほうがよいと思います。
  • 私がラッキーだったのは、新卒でITの技術職を選んで手に職をつけたおかげで、日本に戻って来たときの再就職で困らなかったことです。
    もし、新卒後に務めた会社から転職するにしても、その職場で自分が自信を持って何か身につけたり、実績を残すことで、自信をもって次の仕事に繋げられるかと思います。

Q. 私は海外留学を検討しています。英語があまり得意ではないので、聞こえのことと相まってより不安があるのですが、工夫などを教えていただけませんか。

A.

  • 私もイギリスに行く前、英語は学校で勉強したくらいでした。
    海外で良いのは概してみんな声が大きいこと。これは助かっています。
    英語は、慣れない言葉だから聞こえにくいのはもちろんあって、日本語であればなんとなく文脈や言葉尻で予想がつくけど、そもそも分からないことが多い英語ではそれができないですから。
    英語が聞き取れないのか、難聴で聞き取れないのか?どちらにしても、積極的に聞き返すようにしていました。
    聞こえない側しか位置が取れないときには、日本でも海外でも希望を伝えるようにしていますね。私が経験した海外での反応は「そうなんだねー」くらいのあっさりした反応です。私の出会った方の中だと、海外の方が難聴を開示してる人が多いのかもしれません。実際その話をすると「私の知り合いにもいるよ」とよく言われます。ニュージーランドに来た頃、片耳難聴の当事者に会ったこともあります。

Q. 職場では、どのように耳のことを話しましたか?

A.

  • 私は2年前、育休中に左耳の突発性難聴になりました。めまい症状もあります。
    上司を通じてグループメンバーに開示し、その後も必要に応じて伝えています。働く仲間の理解を得る努力は我ながら頑張りました。
    相手もきっと、私がどのくらい聞こえているのか、めまいは大丈夫なのか、って思っているんですよね。だから自分から体調を伝えたり、「めまいがあるのでエクセルの統計作業をするのが辛いことがあって避けたいです」などと具体的に相談しました。
    また、めまいや難聴をきっかけに自分が何したいのかについて考える機会になり、上司に一生懸命に相談させてもらいました。難聴を組織を良くするために使いたいし、自分のリーダーシップ磨きにも使いたいと思いました。パーパス(なんのために生きるのか・働いているのか)、オーセンシティ(自分らしく)。
    突然聞こえなくなって、落ち込んだりネガティブになることもありました。相手に拒否されたり、普通と違うと思われたりしないか、怖いとか。そういう自分自身と向き合いました。自分と向き合うのも勇気が要りました。
    でも、話したことはとても良かったと思っています。片耳難聴についても、話すことで、働く仲間との信頼が深まったように思っています。
  • 私は、採用時に同じフロアで働く人に伝えましたが、よほどいつも関わるメンバー、綿密に関わる人以外は、たまに会うくらいの人なら開示しても忘れられがちです。よっぽど不便でなければ、相手には再度伝えず、自分で動いたり工夫して済ませますね。
    周りの人に伝えても必ずしも覚えてもらえない、忘れられることは、そういうものだよなと、どこかで諦めるところもあって。忘れられるとしても、自分での工夫や伝え方や、仕事のやり方など、自分は自分に出来ることをやって行けたらいいのではと思っています。

Q. 自社以外の取引先やクライアントへの開示はどうされていますか。信頼関係の構築が必要で、コミュニケーションも大事だと思うのですが。

  • 商社勤務ですが、クライアントへの開示は基本的にはしていません。
    喧騒の中の対話が少なかったし、静かなところなら問題なかったので必要性があまりなかったこともあって。
    ただ、今後そういった必要が出て来たら「ちょっと聞こえにくくて、すみません」等と先に伝えたりポジションを聞こえるように変わってもらうと思います。
    信頼関係の面で言えば、取引先との会話が両耳が聞こえる人より苦手だと思ったとしても、言葉だけのコミュニケーションではなく、一緒の時間を過ごすプロセスや、さまざまな業務面などでの対応の仕方など、見えないところで作れる部分もあるのかなと思います。
  • 私は、必要を感じてタイミングがあったら伝えます。
    伝えるにしても、最初の時点で1~10まで説明するのがベストかというと、そうではないと思っています。耳のことで一番に伝えておくのは大体「こちら側は聞こえなくて、無視しているわけじゃないです、もし気づいてなかったら、声掛けてください」「聞き返すかもしれません」等といった誤解を生みそうなものを減らすためのこと。
    初めての関係性であれば、相手の受け取れる情報量ってある程度決まっているし、仕事でのファーストコンタクトであれば、耳のことよりも仕事上の自分自身が何者であるかとかを伝えて関係性を築いておくなど優先順位があるので。前提として、その時点でコミュニケーションが取れる聴取環境であればですが。
    もし「なんで?いつから?」とか「どんな感じなの?」とか相手が興味を持ってくれたら、その相手の質問に応じて話せることを話します。
    特に仕事では、耳のことだけでなく何においても相手にとって理解してもらいやすいコミュニケーションやステップを踏むことが大事で、それは一緒だと思ってます。
    お伝えする相手の中には、難聴の方に会ったことがなく、一瞬固まるような反応とか戸惑う様子になることもありますが、それは私の問題ではなく、相手のものなので、私が気にすることではないなと思っています。

Q. 医療職などで学生時代実習時には、伝えていましたか

A.

  • 必要に応じて開示します。相手の声質によっては、こちらの聞こえの問題だけでなく聞こえにくいときもあるし、医療現場はコロナ対策以前にマスクもしている時が多く、元々聞こえにくい環境ではあると思うので。伝えることで、困らせたりはしないのではと思います。
  • 伝えるかどうか迷ったら、実習担当の学校の教員に相談しても良いと思います。実習先の環境や、実習先での担当者のことも知っているので。ただでさえ、新しい場や新しい人に会ったり、実習という緊張する場だと思うので、不安なことは相談しておいた方が安心して臨めると思います。

Q. 電話の間に指示されても何も聞こえない。どう対応されていますか。

A.

  • 日本で新卒の頃、電話を取りなさいと指導されていました。電話しているときに話しかけられても聞こえないのは当たり前、と開き直っていましたね。
    「電話してるときに何か用があったら、メモを出してください」とあらかじめお願いしてるといいかもしれないです。積極的に電話をとってくれるのはありがたいと思われているだろうから、そういうお願いをしておくのは自然なことと思いますよ。
  • 難聴に関わらず、話しかけてくる方も電話中なのだから配慮すべきなのではと思いますが。聞こえずに切ってしまったら、そういうタイミングでこそ「こちらの耳は聞こえないので、すみません、気付かなかったです」と言ったりしちゃいます。
    電話が多い部署にいたときは、電話中もたまに視界を上げて周りの様子に気づきやすいようにしていました。
    話しかけられたことに気づいたら、基本的な電話対応と大きく変わらないと思うので、焦らなくて大丈夫だと思います。
    電話口に「すみませんが少々お待ちください」と断りを入れて一旦保留にします。それで、話しかけて来た人の話を聞いて、再度「お待たせしてすみません」と電話に出ます。
    あと電話のときのメモが、左耳難聴のため利き手の右手で取りにくいです。人に渡すときは、綺麗に書き直してましたが、それはそれで要点が分かりやすいと好評だったので良かった点でもあります。

Q. 働いていてストレスフル!みたいなこと、ありますか。

  • 打ち合わせの時、たまに消え入るような声の人がいる…。
    その場では諦めて頷きながらこう言ってるんだろうなと推測して、後でうまく聞き出したり、他の人に「さっき、こう言ってましたよね」と聞いたりしていました。
    話し方が特徴的で聞きとりにくいケースもあり、 100%聞き取るのは無理だから、頑張りすぎるのは辛いです。聞き取れないことがあっても仕方がない、と思って良いのではないかな。
  • 就職したて転職したての時期は、大変かなと思います。
    そもそも業務や仕事環境で右も左も分からないことが多いので、質問をすることが多くなります。職場の人とも慣れていない中で、仕事の質問をするのもちょっとフランクにはしにくいです。余裕のある会社だと、ちゃんとまとまったフォローの時間もあると思いますが。
    そういった中で、難聴で聞き取れなかったことが加わると、質問や聞き返しの回数が増えることになりますが、質問が多くて当たり前、最初は疲れて当たり前、だと思うようにしています。時間が経って慣れると、多少聞こえなくても状況から判断できるようになるし、周りの人に気兼ねなく聞き返したりもしやすくなると思います。

Q. 補聴器を使ったことがある方は、どんな感じですか

A.

  • 補聴器をつけたからといって完璧にはならないですが、自分の場合は、隣同士の小声の会話が一番困っていて、クロス補聴器によって気を張る場面が改善されたのが良かったです。たとえば、運転している時も左耳難聴なので助手席の声が聞こえなかったですが、補聴器を着けてだいぶ大丈夫になりました。
    補聴器に周波数帯に応じたチャンネル数があって、値段によって出せる音の種類が違うんですよね。ざっくりいうとグレードのよいものほど、自然に感じます。 
    救急外来で働いていると一緒になる看護師さんが毎回変わるので難聴のことも伝えていなかったのですが、勤め始めて2~3ヶ月経ってから初めて補聴器に気づかれたんですよね。つまり、あまり気づかれない。補聴器の見た目が気になる方いるとは思うけど、意外と周りからは見えないこともあるというのはお伝えしておきます。
  • 私は、レンタルでクロス補聴器の耳掛けタイプをしばらく試したことがあります。
    その結果、値段と有用性を比較してあまり私の生活では必要性を感じなかったので購入に至りませんでした。
    また、メガネもかけているので、マスクに補聴器と、顔や耳回りが沢山過ぎるみたいなところもあって(笑) 耳穴型というマスクでも引っかからないタイプもありますが。
  • 大事なのは、実際の生活の中で効果的に使えるかどうかだと思います。人によって聞き取りのシチュエーションや、使い勝手が違うので。関心のある人は、補聴器屋さんや補聴器外来などで試用できます。レンタルしてしばらく使って貰うのがよいと思います。取り扱いがないところもので、ウェブなどであらかじめ調べてみるのも良いかもしれません。

感想

参加した学生からの感想を一部紹介します。

  • 色んな職種の体験談が聞けて、似た職種でも、それぞれ違いがあったり、職場によっても違ったり、片耳難聴の人でもそれぞれ対応の仕方もちょっとずつ違って、参考になった。
  • 様々な業界で働かれている社会人の方々に会うことができ、就活への不安が和らいだ。
  • みなさんがどんな工夫されているか直接伺うことができ、参考になった。職種に限らない仕事でのちょっとした片耳難聴の工夫が知れたのもよかった。

今後のスケジュール

きこいろでは、毎月1回の片耳難聴Cafe(当事者同士の交流会)や片耳難聴レクチャー(専門家による勉強会)を行っています。

会員以外も参加可能、参加費無料、途中入退出可。

関連記事

きこいろから作成しているリーフレット

著者紹介