後天的な片耳難聴に伴う音楽との関わり、聴こえの変化・順応

Written by 辻 慎也

物心がついてから片耳難聴を発症した25名の方にアンケート調査を行いました1)

  • 難聴側の聴力がない(片側聾)/ ある(片耳難聴)ケースの間に違いがあるか?
  • 難聴の発症後、聴こえにどの程度順応がみられるのか?

という疑問を明らかにするために、
回答を片側聾 / 片耳難聴のグループに分けて集計し、分析しました。

また、各設問に対して、
「発症の前」「発症直後」「現在」
の3つの観点から回答してもらいました。

1. 音楽との関わりの変化・順応

片側聾・片耳難聴 どちらのグループも、
発症の前と比べて、発症直後の
「音楽を聴く頻度」「音楽の役割」「音楽の楽しさ」が減少していました。

しかし、発症直後と比べて現在(アンケート回答時点)では、
「音楽を聴く頻度」「音楽の役割」「音楽の楽しさ」が増加していました。

① 音楽を聴く頻度(10段階評価)

1. 音楽を聴く頻度の変化を示す画像
  • 発症直後は怖かったので音楽を自発的に聴かなくなりました。その後病気を受け入れ、慣れてからは適度に聴くようになりました。(30歳男性)

というコメントもありました。

② 音楽が生活に占める役割(10段階評価)

2. 音楽が生活に占める役割の変化を示す画像

片耳難聴グループでは、片側聾と比較して、
現在の「音楽を聴く頻度」「音楽の役割」「音楽の楽しさ」を
発症の前よりも少し低く評価する傾向がみられました。

③ 音楽の楽しさ(10段階評価)

3. 音楽の楽しさの変化を示す画像

演奏の頻度

片側聾・片耳難聴 どちらのグループも、
発症の前と比べて、発症直後の
「楽器の演奏頻度」「歌う頻度」が減少していました。

④ 楽器の演奏頻度(10段階評価)

4. 楽器の演奏頻度の変化を示す画像
  • 発症後は音楽を聴くことも楽器で表現できることも幅が狭くなったように感じている。(48歳男性)

というコメントもありました。

⑤ 歌う頻度(10段階評価)

5. 歌う頻度の変化を示す画像

一方、現在では、片側聾の「歌う頻度」、
片耳難聴の「楽器の演奏頻度」が発症の前に戻っていました。


音楽鑑賞の時間

片側聾、片耳難聴 どちらのグループも、
発症直後、1日に音楽を聴く時間が全ケース、
1時間以下になりました。

現在では1日に音楽を聴く時間が
発症前の長さに戻っていました。

⑥ 音楽鑑賞時間(発症の前〜発症直後)

6. 発症の前から発症直後の音楽鑑賞時間の変化を示す画像

⑥ 音楽鑑賞時間(発症直後〜現在)

7. 発症直後から現在の音楽鑑賞時間の変化を示す画像

2. 音楽の聴こえの変化・順応

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