先天的な片耳難聴による音楽への影響は検討が進んでいません。
そこで、物心がつく前から片耳難聴の
47名の方にアンケート調査を行いました1)。
後天的な片耳難聴と同様、
音楽との関わりや聴こえについての設問から、10項目の結果をまとめました。
各設問に対して、
「幼少期」「青年期」「現在」
の3つの観点から回答してもらいました。
1. 音楽との関わりの変化
幼少期から青年期にかけて、音楽との関わりが増加する傾向がみられました。
後天的な片耳難聴では発症直後に音楽との関わりが少なくなる傾向がありましたが、先天性では発症直後とはいえ幼少期から、積極的に音楽と関わる傾向がみられました。
「生まれつきなので音楽では聴こえを気にしたことがない」というコメントもみられました。
(1)音楽の 「聴く頻度」 「役割」 「楽しさ」
音楽を聴く頻度(10段階評価)
幼少期から青年期にかけて、音楽を聴く頻度が増加する傾向がみられました。

音楽が生活に占める役割(10段階評価)
幼少期から青年期にかけて、音楽が生活に占める役割が大きくなる傾向がみられました。

音楽の楽しさ(10段階評価)
幼少期から青年期にかけて、音楽の楽しさが増える傾向がみられました。

- 生まれつきなのでこれが自然・・・特に不自由だと思った事はありません。(22歳男性)
というコメントもありました。
音楽への関わりが増える傾向から、先天的な片耳難聴では
幼少期から青年期にかけて、聴こえへの順応がみられました。
(2)演奏の頻度*
楽器の演奏頻度(10段階評価)
幼少期から青年期にかけて、演奏する頻度が増える傾向がみられました。
一方、青年期から現在にかけて、演奏する頻度が減少していました。
後天的な片耳難聴と比べると、発症直後に近い幼少期でも演奏頻度は高いことから、
青年期から現在にかけての減少は、片耳難聴の影響というよりも
演奏にあてる余暇の時間の減少といったようなことが要因と考えられました。

歌う頻度(10段階評価)
歌う頻度はいずれの時期も高く、頻度の変化はみられませんでした。

- ・・・わたしは今でもアカペラを続ける程、一側性難聴で音楽活動に支障があると感じたことはない。(33歳女性)
というコメントもありました。
- * 演奏の頻度はよく演奏した経験がある方のみ回答を集めました。
- 楽器の演奏頻度は32人、歌う頻度は31人の方が演奏経験がありました。
(3)音楽鑑賞の時間
幼少期から青年期にかけて、1日に音楽を聴く時間が増えました。
音楽鑑賞時間(幼少期〜青年期)

音楽鑑賞時間(青年期〜現在)
青年期から現在にかけて、1日に音楽を聴く時間が落ち着きました。

2. 音楽の聴こえの変化