1. 片耳難聴の子どもと親の会
埼玉県にある坂戸ろう学園の「おひさまの会(一側性難聴の子どもと親の会)」の交流・勉強会に参加しました。
ろう学校とは、聴覚障がいのあるお子さんを対象とした「特別支援学校」と呼ばれる学校の通称です。小学部〜高等部だけでなく、幼稚部やそれよりも小さいお子さんの支援を行う乳幼児教育相談もあります。
基本的には、障害ない子どもと同様の教科学習を、聴覚障害に配慮して行います。
さらには、地域のセンター的機能も担っており、ろう学校に通っている子どもたちだけでなく、地域に住む聴覚障害のお子さんの教育相談にも応じています。
ろう学校といえば、両側の聴覚障がいのあるお子さんが通うところというイメージも強いかと思います。しかし、最近では、片耳難聴の診断を受けたお子さんのご家族からの相談も増えているそうです。
背景には、生まれてすぐに聴覚検査・必要に応じて早期治療・療育を行うことを目的とした「新生児聴覚スクリーニング」の実施率が高くなってきたことがあります。これまでは、片耳難聴の場合、片方が正常に聞こえているゆえに、日常的には気づかれないこともありましたが、検査を行うことで、生まれてすぐに片耳難聴が分かるようになりました。
相談支援の一環として、坂戸ろう学園の乳幼児教育相談では、片耳難聴を持つお子さんとご家族を対象としたグループ支援を行なっています。
グループが始まったきっかけは、5年前。
偶然にも同じ年に生まれた片耳難聴児の保護者から立て続けに問い合わせが入ったこと。相談を受け、保護者からのニーズを感じた先生方が交流グループを開いたのが始まりでした。
おひさまの会では、月に1回のグループと、年に一回の勉強会をしており、基本的には地域支援の一貫のため、学校の管轄内にお住まいの方を対象としています。年齢は、乳幼児を対象に、ご希望があれば小学生までは受けれ入れておられます。
私は、グループ開設当時より、同県内で働く言語聴覚士で、片耳難聴の当事者・研究者という立場で関わり、特に年に一度の勉強会で保護者の皆さんと悩みや体験を共有しています。
- *特別支援学校
以前は、障害程度が該当基準にある子どもは、特別支援学校に入ることと決められていた。
現在は、入るか入らないかは選択できるようなっている。
特別支援学校の数は全国で1135校、在籍している幼児・児童・生徒の数は141,944人(幼児・児童・生徒全体に対する割合は0.9%)。
出典:2018文部科学省調査 - *ろう学校
主な対象は、両耳難聴の子ども。両耳の聴力レベルが60dB以上、補聴器等の使用によっても通常の話声の聞き取りが困難な程度のものとされている(学校教育法)。 - 出典:文部科学省 参考:ろう学校一覧
2. 全体の様子
今回は、片耳難聴のお子さん&ご兄弟約20名とご両親約15名、ろう学校の先生4人が参加されました。
ほぼ全員のお子さんが、生まれつきの片耳難聴とのこと。
5年前からこのグループに参加していて、お子さんも聞こえないことが分かっている人もいれば、この日が初参加の親子や、最近聞こえないことをお子さんに伝えたのだ、と言う方もいらっしゃいました。
午後14時〜16時くらいまで、ひとつの教室をお借りして行われています。
保護者は輪になって近況報告と最近の気になること等のお話を、
その周りで子ども達はろう学校の先生方と一緒に、縁日ごっこで玩具を作ったり焼きソバを作ったり、楽しく過ごしました。
