2. 主に話されたこと
保護者の発言は個人的なことを伏せています。
(1)伝えることについて
保護者の皆さんからの質問や悩み
- 子どもの片耳難聴をどのように周りの人に伝えているのか?
- 先生や学校に伝えるののは、就学時前の相談や連絡帳で伝えている。でも、担任が変わるごとに伝えなければならず、引き継がれる訳ではない。伝えても、忘れられてしまったり、十分に理解を得られていないように感じる。
- 子どもが先生が言っていることが聞こえず、友達に聞き返したときに「先生の言うことをちゃんと聞かなきゃダメだよ」と注意されてしまった経験がある。
- 親がお手本になって、子ども自身にも片耳難聴と必要な配慮を求めるスキルを身につけられたらと思っている。
- 自分自身が子どもの片耳難聴を受けとめ切れておらず、人に話すと涙が出てきてしまう。
- この会に参加することで、親自身が片耳難聴について他の人に話す練習ができた。
返答
- 「困っている」だけでなく、「どうすると助かるか」をセットで伝えるのがポイント。
- 伝えても、残念ながら、片耳が聞こえるがゆえに聞こえなさは分かりにくく、忘れられてしまうのは、よくあること。
困った体験も含めてお子さん本人が経験して、どうしたら良いかを試行錯誤していくのも大事。
大人になってからは特に仕事上、困る方が多いが、子どもの頃に困った実感がないまま、いざ就職してから聞こえに困ったとしたら、どう対処していいか分からず、さらに大変。
子どものうちから、自分の聞こえや対応方法を学べるといいと思う。 - 就学前の保育園/幼稚園までは、先生には、子どもの行動を理解してもらう目的で伝える程度でいいのではないか。
例えば、呼びかけたときに反応がないのは、聞いていないのではなく聞こえていないのだとか。
内容的に複雑なことは少ないため、厳密に配慮を求める必要性はそこまで高くはないと思う。
保護者会で全員の前で伝えなくても、もし子ども同士で「無視した」等とトラブルになったときに、その子の親御さんに個人的に伝えるということでも良いと思う。 - 小学校に入ってからは、学年が変わるごとに担任の先生に伝えることになる。低学年のうちは、理解や伝える力がまだ未熟でも本人のこと。
大人が良かれと思って一方的に進めるのではなく、子どもに「もし聞こえにくかったら、席を変えてもらってもいいんだよ」など、本人と相談ができるとより信頼関係を築きやすくなると思う。 - 中学生、高校生くらいになると自分で伝える力もついてくる。また、反抗期にもなり親の心配がわずらわしくなってくるのも当然の時期なので、本人に任せて見守ることも必要。
抽象的な思考や他者との比較ができる力がつくので、片耳難聴についても悩むことができるようになる。相談には応じるスタンスや物理的に時間がある余裕を見せながら、試行錯誤を見守れると子どもは安心する。 - 家族として見守るコツは、「あなたの味方」だと伝わること。
自分の場合は、片耳難聴がわかったとき、親が気持ちに共感してくれたのが嬉しかった。Dr.が親にしか説明しないでいたら、「当事者である子どもにちゃんと話して下さい」と言ってくれたのが嬉しかった。友人などで理解してくれない人がいたら、「相手の方が悪い」と言っていつも味方になってくれた。そんな存在になってくれたら嬉しい。 - 「わかってあげなきゃ」「受けとめなきゃ」「親としてこうあらねば」と思い過ぎても親が大変。ほどほどで、大丈夫。
(2)聞こえについて
保護者の皆さんからの質問・悩み
- 片耳難聴の影響か、声が大きくなりがちで「ライオンさんの大きさじゃなくて、ネズミさんくさいの大きさで」と伝えるが調整が難しく困っている。
- 聞こえの教室に通っている。
- 補聴器をつけたが合わず、つけるとしても周りの眼も気になる。
- 中等度のため補聴器をつけたが、学校では雑音となる音が多いため、あまり効果がなかった。
返答
- 子どもの声の大きさについて、子どもにも通じるように工夫をしていて素敵だと思う。片耳難聴によるものというより、年齢的なものだと思う。子どものうちは尚更、楽しかったり気持ちが高ぶっていると声が大きくなってしまうもの。
自分を俯瞰的に見て分かるのは、おそらく小学校高学年くらい〜。楽しい気持ちを尊重しつつ、その都度、促して行くほかないかも。 - 「聞こえの教室」は、通級指導学級のこと。
通常学級で授業を受けながら、個別の指導が必要な子どもたちが通う教室。地域に何校か通級指導教室を設置している学校がある。普段は通常授業を受け、週に数時間だけクラスを抜けて通う。
地域によって対応は様々で、難聴に限らず通級指導教室に通いたい子どもたちは増加しており、片耳難聴児を受け入れているところは多くはない。
文部科学省では「補聴器等の使用によっても通常の話声の聞き取りが困難で、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする」を対象としている。
悩みを相談できる、仲間に出会える、言葉の指導や教科学習の補助指導が受けられる。クラスを抜けて通わなければならないので、子どもと相談した上で何を支援してもらうために通うのか目的を明確にして通えると良い。 - 難聴の耳に補聴器が適応するのは、中等度の難聴まで。70dB以上の高度難聴だと、補聴器をつけて言葉の聞き取りの改善にはならないため、効果は感じられないかもしれない。
- 補聴器をつける場合も、確かに周りの目が気になるからと目立たない色をつけたり、髪の毛でカバーしたりする人もいる。一方で、最近はアクセサリやカッコイイ機械が使える!とあえて目立つ補聴器を使う人もいる。

(3)習い事や進路について
保護者の皆さんの質問・悩み
- 習い事に興味があるが、音楽やダンスなどは片耳難聴者にとってどんな感じか。
- 中耳炎にかかりやすいが、プールは避けた方が良いか。
- 進路選択や就職のときに気をつけることはあるか。片耳難聴ではつけない職業があるのか。
返答
- 習い事に制約は、特にないと思う。音楽やダンスも片耳難聴だから出来ないことはなくて、中には音大に進んだり、その道のプロもいる。
ただ、例えばピアノであれば、連弾をしようとしたら聞こえない側に相手がいるとやりにくいし、ダンスであれば、聞こえない側のポジションになると指示が聞こえにくい可能性があることを知っているといいとは思う。
「能力がないから出来ない、私はダメだ」ではなくて「聞こえの問題」である時もあるから、そうなったときに思い当たって改善ができると楽。 - 医師からOKが出ていれば中耳炎でもプールは問題ない。中耳炎は、耳に水が入って起こるわけではない。多くは鼻から。プールの後によく鼻をかんで。
- パイロットや自衛官など身体能力を要する仕事は、難聴でも視力でも少しの差でもなれないものもある。でも、海外では両耳が聞こえなくても飛行機の免許が取れたりするし、あと10年20年で日本の状況も変わる可能性もあるかも知れない。
ただ、片耳難聴の場合は雑音のあるところでの聞き取りが難しいので、そういった環境の仕事は大変。インカムをつける仕事も、聞こえる側が塞がってしまうので大変。それでも出来ないことはないし、工夫してやっている人もいる。
やりたいことを片耳難聴だからと否定的になる前に、まず、子どもの「やりたい」という気持ちを聞いてあげるのが大切。どうしたら片耳難聴でも、実現可能かを一緒に考えられたら、子どもは嬉しいと思う。逆に、やりやすい仕事は、静かな環境でできる仕事。人と関わる仕事でも1対1で関わる仕事だとあまり支障は感じない。

