きこいろ初のオンラインレクチャー!
30名以上(当事者、ご家族に片耳難聴がいる方、医療/福祉/教育関係者など)が参加し、片耳難聴についての知識を深めました。
- 開催日時:2021年5月30日(日)14:00~15:20
- 方法:Zoom リアルタイム配信
1. 片耳難聴レクチャーって?
きこいろのPJメンバーで、片耳難聴の当事者である聞こえの専門職を講師に、
レクチャー(勉強会)を2019年度は2回、広島と神奈川にて行っていました。

2020年度は、新型コロナ感染症対策のため現地開催を見合わせ、
また、本WEBサイトでの情報発信が整いつつあること、他の団体等が企画する講演でも同様の内容をお話していたことから、きこいろではレクチャーをオンラインで行っていませんでした。
しかし、会員メンバーからのリクエストや、
当事者だけでなく周りの方により情報をお伝えしやすくするため、今回初めてオンラインにて開催する運びとなりました。
ボランティアでの運営を行うきこいろにとっては、
オンラインイベントにて30人規模と中規模の人数で開催するのは初挑戦。
十分に対応できるか不安もありましたが、皆さんのご協力のおかげで、無事にリアルタイム配信を終えることができました!
2. 当日の様子
本WEBサイトにも掲載している内容を中心に、
事前の申し込み時に質問を受付けたり、レクチャー中にはチャットでの質問を受付けました。
レクチャーの構成
- 聞こえの基礎知識
- 片耳難聴のメカニズムや困る場面
- 片耳難聴に使える補聴器や
片耳難聴への対応のコツ
事前にあった質問の例
Q. 片耳難聴の人ってどれくらいいるの?
A. 全国的な片耳難聴に関する調査は行われていません。
ただ、様々な報告がありますが組み合わせて推計すると、日本では少なくとも約0.3%(36万人)いるのでは?
と、きこいろ代表 岡野さんは推計しています。
その原因は、先天性(生まれつき)の耳の骨の奇形や遺伝子の異常、ウィルスの感染など様々ですが、半数以上は不明と言われています。
データの例を紹介…
- 先天性(生まれつき)では、1000 人に約 1 人の割合で発症
- 子どもの頃の発症では、ムンプス(おふく風邪)に罹患した患者の約 1000 人に 1 人が難聴を発症
- 大人になってからの発症の片耳難聴では、最も多い突発性難聴は人口 10 万人あたり 27.5人発症
Q. 片耳難聴だと、「音が脳の右脳か左脳にしか届かない」と聞いたことがあるが本当?
また、難聴だと認知症になるリスクが高いとも聞いたことがあるが、片耳難聴も?
A. 片耳が聞こえないからといって、聞こえる耳の側の脳にしか音が届かないということはありません。
中継地点では、左右の信号を交換し合いながら処理をして、片耳から入った信号も両側の脳に届くようになっているのです。

また、片耳難聴によって認知症のリスクが高いというエビデンスは、報告されていません。
認知症に関係する可能性があると言われている、「加齢性の難聴:老化による聴覚機能の低下」は、両側の耳で進行することが多く、つまり、両方の耳から脳に入る音情報が少なくなるために影響があると考えられています。(参考:一般社団法人日本耳鼻咽喉科学会)
当日あがった質問
Q.最近、突発性難聴になったが、聞こえる方の耳で耳鳴りもあって大丈夫なのか心配です。
A.難聴のある耳に、耳鳴りが伴うことがありますが、
良い方の耳で、気になるほどの耳鳴りがする場合や、突然いつもと違う耳鳴りが起こった場合病院受診をお勧めします。何らかの病気のサインの可能性もあります。
耳鳴りの原因は、はっきりと解明されていません。
難聴のある耳に起こるのは、難聴によって聞こえなくなった音を脳が補おうとして過剰に興奮した結果、頭の中で作り出された音と考えられています。
特に静かな場所では、耳鳴りの音が大きくなったような気がします。耳鳴りの音を聞こうとすればするほど、耳鳴りの音は大きくなってしまいます。
難聴のある耳の耳鳴りが気になる人は、特に気になってしまう無音の状態になるべくならないように、音楽を流したりテレビやラジオをつけたりして、耳鳴の音をかき消すようにすることがオススメです(ボリュームを上げすぎないように注意!)。

Q. 片耳難聴であるためにしない方がいいことはあるか?
例えば、プール、ホットヨガ、飛行機などは大丈夫…?
A. 特に制限はありません。
難聴の発症直後など、体調が優れないときなどは、ドクターと相談して頂ければと思います。
(参考:本サイト「めまいと生活Q&A」)
お子さんが片耳難聴の親御さんから、習い事の選び方などで相談されることもありますが、
基本的には、なんでもやれるかと思います。
プールも、「中耳炎」になってしまうのではと心配をされることがありますが、中耳炎は、水が耳に入ってなるものではないので大丈夫です。(参考:本サイト「聞こえる耳を大切にしよう」)
自分(きこいろ代表)も中学生の頃に突発性難聴になりましたが、その後も何でもチャレンジして楽しんでいます。
参加者からの感想
一部を紹介します。
- 知らなかったことが詳しく知れて良かった。お話ししてくださった先生が、当事者と仰ってくださって良かった。
- きこいろのHPで載っているかもしれない内容だったかもしれませんが、文字より解りやすくあっという間の1時間でした。
- 私は社会人になって突発性難聴を患い、発病時に、医師から「聴力の改善は難しい」と言われたこともあり、服薬の辛さに耐えられず治療を止めてしまいました。その負い目もあり、知る努力も治す努力もしてきませんでした。
今日初めて、聴力検査の結果の見方や補聴器について等を知りました。
特に知れて嬉しかったことは、難聴に伴う症状についてです。難聴のくせに大きな音が苦手で、自分の我儘だと思っていました(適切に周囲に伝えることもできず、難聴のことを打ち明けにくく思っていました)。「補充現象」という感音難聴に伴うこともある症状だと知って、とてもホッとしました。 (参考:「難聴に伴う症状」)

今後のスケジュール
オンラインでのレクチャーを今後も検討してまいります!
11月28日(日)14時~16時には、「片耳難聴のキャリアセミナー」と題し、片耳難聴のあるお子さんの親の立場でもあり、総合商社等での経験のあるキャリアコンサルタントを講師にレクチャーを計画中です。
ご関心のある方は、ご活用ください!詳細は、9月頃にお知らせします。
きこいろ会員メンバー以外も参加できるオープンなイベントです。
当事者を中心に、ご家族や周りの方、関係者も参加ができます。
片耳難聴Cafe(交流会)の予定
- 7/25(日)14:00~16:00 「学生×社会人 お仕事相談会」
「10~20代 学生の会」の特別企画
※片耳難聴を持つ10~20代・学生が、ゲストの片耳難聴の社会人とお話する会です。 - 7/25(日)17:00~18:00
テーマ/対象フリー
※年代問わず様々な片耳難聴についてのお話をする時間です。
▼会員メンバー優先受付 - 8/28(土)14時~16時「家族のための会」
※主に、お子さんが片耳難聴を持つご家族の会です。 - 8/28(土)13時~15時「音楽好きの会」
※片耳難聴と音楽にまつわる話をする会です。

イベント情報は随時(おおよそ開催1~2か月前より告知・受付)お知らせしています。
関心のある方は、本WEBサイトや、Twitter・Instagram、きこいろ会員メンバー限定のFacebook・季刊メルマガをご覧ください。