病院で「聞こえる側の耳を大切に」と言われても
具体的にどうしたら良いのか分からない、という人もいるかもしれません。
また、135名にお答えいただいたアンケート1)では、
「聞こえている耳も悪くなってしまうのでないかと不安に思うことがある」
と答えた方が82%と多くいました。
片耳難聴の人では、聞こえる方の聴力が低下するリスクが高いという統計結果はありません。
両耳聞こえている人が難聴になるリスクと同程度と考えて良いと思います。
しかし、せっかく聞こえる片方の耳が悪くならないように、できることはしておきたいものです。
聴力低下をすべて防ぐことはできませんが、聞こえる耳を大切にするために日頃からできる対策を3つ紹介します。

1. 予防できる病気を予防しよう
ムンプス難聴
おたふく風邪の罹患後、1000人に1人の割合で、主に片耳に高度難聴をきたすと報告されています。
おたふく風邪は、予防接種でかかるリスクを下げることができます。
抗体のない方は接種を検討してみても良いかもしれません。
中耳炎
鼓膜の中に水や膿が溜まる疾患です。
小さいお子さんには、身近な病気だと思います。
鼻炎から中耳炎になるケースが多く、鼻の治療をおろそかにしない、違和感があれば早めの耳鼻科受診が大切です。
外耳炎
鼓膜よりも手前の耳の穴に炎症がおこり、耳のかゆみや痛みが現れる疾患です。
多くは、耳かきで外耳道を傷つけ起こるため、やりすぎに注意しましょう。
重症化した場合に、外耳道が腫れて、一時的に聞こえにくくなります。
2. 大きな音に気をつけて
大きな音により、蝸牛の中にある有毛細胞が傷つき起こる難聴があります。
騒音性難聴
大きすぎる音にさらされ続けることで、5~15年以上かけて進行していく難聴です。
普段生活している分には、リスクは極めて低いと考えられます。
音響外傷
130dBSPL以上の大きな音では、一瞬にして聴力低下が起こることがあります。
大音量に長時間さらされないように予防しましょう。
3. 定期的に聴力検査をしましょう
年に一回程度、聴力検査を受け
良い耳の聞こえが低下していないか確認することが推奨されています。
参考文献
- 岡野由実, 原島恒夫, 堅田明義:一側性難聴者の日常生活における聞こえの問題と心理的側面についての調査—ソーシャルネットワーキングサービスを利用して—.Audiology Japan 52(4):195-203,2009