気をつけておきたい病気(子どもの頃)

Written by 森田 訓子

聞こえる耳を大切にするため、
特に子どもの頃に気をつけるとよいことを、
小児難聴がご専門の耳鼻咽喉科専門医の森田Dr.に記事を執筆いただきました。(岡野)

突然、片耳が聞こえなくなったら戸惑い慌てるであろうことは容易に想像できますが
両耳とも聞こえが良いという状態を経験したことがないお子さんにとっては
“片耳難聴の「今」の状態が普通、あたりまえ”
なので、特に疑問を持つこともなくごく普通に生活しています。

ご家族にとっては何に気をつければ良いのか、ピンとこないのも無理はありません。
子どものときに気をつけることは、おおよそ次の2つに分けられます。

子どものときに気をつけること

  • 良聴耳の聞こえが悪くならないようにする
  • 両耳聴効果が得られない影響を最小限にする工夫をする

聴力低下をすべて防ぐことは出来ませんが、良聴耳の聞こえが悪くならないように気をつけるポイントがあります。

ここでは、中耳炎やムンプス難聴などの病気について紹介します。

1. 中耳炎(ちゅうじえん)

中耳炎の種類

  • 急性中耳炎
  • 滲出(しんしゅつ)性中耳炎
  • 慢性化膿性中耳炎
  • 真珠腫(しんじゅしゅ)性中耳炎
  • 好酸球(こうさんきゅう)性中耳炎

鼓膜の中の「中耳」という部屋が感染して、膿や水が溜まる疾患です。

中耳には、鼻の奥に通じる「耳管」という管があり、
鼻の細菌やウイルスが、耳管を通って中耳に入る
と炎症を起こします。

お子さんに身近な中耳炎は、急性中耳炎と滲出性中耳炎です。

特に0歳、1歳から保育園に入っている場合は
免疫力が未熟なため、中耳炎を繰り返しやすい状態です。

イメージ

急性中耳炎の場合は、
発熱や機嫌が悪い・耳を痛がるなど症状がわかりやすいので、小児科や耳鼻咽喉科を早めに受診されると思いますが、

滲出性中耳炎の場合は、
耳の違和感(耳閉感)や聞こえにくさがあっても、小さいお子さんは表現できないため家族は気づきにくく、
食欲もあり元気であれば特に病院に行くこともなく、保育園や幼稚園あるいは学校に通い続けることになります。

急性中耳炎はきちんと抗生剤を内服すれば治りますが、
途中で内服を中止してしまうと、滲出性中耳炎などに移行してしまうことがあるため、
しっかりと治療することが大切です。

鼻が出ている、鼻すすりをしている場合には、
耳鼻咽喉科を受診して鼻だけでなく耳も診てもらうように普段から習慣づけておくと、早めに気づくことができます。

鼻をかむ女の子

2. ムンプス(おたふく風邪)の予防接種

おたふく風邪に罹患した後に、内耳にも感染し、1000人に1人の割合で主に片耳に高度の難聴をきたすことが分かっています。
原因となるムンプスウィルスから「ムンプス難聴」と言います。

しかし、わが国では、現在ムンプスの予防接種は任意接種のため接種率が低く、
そのため周期的に流行し、ムンプス難聴も発生しています。

片耳難聴の方の場合、もし良聴耳がムンプス難聴になると両耳とも難聴になってしまいます。
場合によっては、良聴耳の聞こえのほうがもともとの難聴耳より悪くなってしまうかもしれません。

2020/1/31現在、日本小児科学会では、
ムンプスの予防接種は、1歳での1回目の接種と就学前の2回目の追加接種を推奨しています。

かかりつけの小児科を受診された際や定期接種の時に、相談してみてください。

注射のイメージ

3. 聞こえやことばが心配なら精密聴力検査機関の受診を

片耳難聴の方の中には、日常生活で特に困ることがないから、
健康診査(健診)の時以外に聴力検査は受けたことがないという方もいらっしゃると思います。

実際は、良聴耳に軽度難聴や特殊な難聴(高音障害型難聴、低音障害型難聴など)があっても気づいていない場合や、
たまたま何かのきっかけで、CTやMRIを撮ってみたら
良聴耳にも内耳や中耳の形成不全が見つかったということも頻度は少ないですが、あり得ます。

小さいお子さんは、
集団生活の中でコミュニケーションの取り方や、ことばを学んでいく人生の大切な時期にあたります。

耳鼻咽喉科を受診し、中耳炎はないといわれたけれど聞こえやことばが心配、
音声への反応が最近悪い気がするなど心配なことがあれば、
かかりつけの耳鼻咽喉科や、最寄りの保健所などに相談して
小さいお子さんの聴力検査ができる精密聴力検査機関を紹介してもらってください。

関連記事

著者紹介