片耳難聴Cafe第14回【オンライン】イベントレポート

2020年4月23日 − Written by 麻野 美和

5回目となるオンラインでの片耳難聴Cafe!
北は北海道、南はオーストラリア!10代~60代まで、場所も世代も超えて集まりました~!

6人でビデオ通話した画面
ビデオ通話の様子

参加者の皆さん、楽しい時間をありがとうございましたー!!
(片耳難聴Cafeって?詳細はこちら「片耳難聴Cafe」

主に話されたこと

4/19は、一枠2時間×4回で合計8時間、計19名の方とお話しをしました。盛沢山すぎて書ききれないため、ごく一部だけ抜粋します。

最近のこと

  • 最近は、感染症対策でマスクしている人が多い。でも、自分の地域ではお店のレジに「マスクなので聞き取りにくい場合があります」と張り紙がしてあるから、聞き返しやすい。片耳難聴じゃなくても聞き取りにくさがあるのかもしれないなと。
  • 自粛で人と話す機会が減って、聞こえ的にはある意味楽なところも(笑)通話だと、席のポジションも関係ないし、直接イヤホンから聞けるし、自分の場合は不便が減った。
    オンラインで話してると、片耳難聴じゃなくても、音が途切れたり聞こえないトラブルはあるみたいだから、聞こえる人も聞こえない疑似体験をしているなーと思ったり。
  • 訪問介護の仕事をしていて、同僚と車での移動する。もともと、助手席に座ると右耳が聞こえないから話しかけられると聞こえにくくて身体をひねったり、BGMの音量を下げてもらっていた。
    今は「密」を避けるために窓を開けて換気していると、風を切る音でほとんど聞こえなく..。かと言って、運転が上手くもないから席を変わるのもなーという感じ。
  • 補聴器をつけているが、最近はマスクもして眼鏡もしてと耳に沢山かかっている(笑)マスクを外すときに、補聴器に引っかかって落としそうになるから気を付けている。
    口元が見えるマスクが話題になっていたが、自分は口元はもともと読めないが、表情で雰囲気を見たりするのが分かりにくくなったと思う。

日常生活のこと

  • 飲食店に行ったとき、席によっては聞こえにくくなったり、賑やかなところは聞き取りにくい。
    席取りで、聞こえる側に人を来るようにする人が多いけれど、自分はあえて、壁側に聞こえる耳が来るようにしている。音が壁に反射するから、それで聞いている。
  • 少し前に片耳難聴になって、世界が変わった。
    年を重ねると、周りの人も何かしら病気だったりするので伝えるのは問題なかったが、やっぱり大人数での場には行きにくくなった。聞こえないだけじゃなくて、音が響いて不快な感じもあって困っている。
    片耳の生活になれるまで、どれくらいかかるのかなという感じ。
  • 何年か前に片耳難聴になって、少しは聞こえる状態だが、前と比べてTVの音が聞こえにくくなった。
    それでTVの音量を大きくしすぎてるのか、これでいいのか、分からないときがある。一人暮らしだから周りの人にも聞けないし。バラエティー番組よりニュース番組など、静かではっきり喋ってくれる番組が見やすい。字幕をつけるという手もあると知った。
  • 原因不明の片耳難聴になって日が浅く、めまいや聴覚過敏、他の障害もある。
    以前に、両耳難聴の人と接する機会があったこともあり、地域の講習会に通い手話を勉強し始めた。普段使わないからなかなか覚えないが、手話を使う人とコミュニケーションが取れたらよいし、もしもう片方の耳も聞こえなくなったとき自分のためにもなると思って保険をかけている感じ。
手話をする男女2人

学校のこと

  • 小さいころからの片耳難聴だけど、人に言えないタイプだった。心に秘めていたが、子どもの頃は聞こえないと女子の中で人間関係が面倒だった。「無視された」となってしまって。
    大人になってから人に伝えてたり、環境的にうるさいところに行くことも少なくなったから大丈夫になってきた。伝えたときに「どうしたら君にとっていい?」とフランクに聞いて貰えて嬉しかった経験もある。
  • 子どもの頃に熱か何かで片耳難聴になったけど、あまり困った記憶はなくて遊びに夢中だった感じ。
    親は先生に席の配慮などを言っていたみたいだけど、自分は、好きな席に座りたかった。好きな子の隣に座りたいし、自由に後ろの方の席にも座りたかった。
  • 男子同士だからか、陰口みたいにはならなかったが、片耳難聴のことを伝えたらからかわれたことがあって。言い返した、やり返した(笑)
    眼鏡かけてても、昔は今ほどかけている子どもはいなかったし見た目は分かりやすいから、からかわれたことがあった。
  • 小学校~中学校まで持ち上がりで、ほとんどの人が片耳難聴のことを知っている。小耳症で手術をするために1~2か月休んだし、普段から伝えている。
    クラスメイトも、「今の聞こえてたー?」みたいに確認してくれることがあって「聞こえてたよー」「聞こえなかったー」とか自然な感じ。隣の席の子が親切心で大きな声で喋ってくれるけど、そういうことじゃないんだという時はあって「聞こえてるよー」と言ってる(笑)
芝生の上で円になって集まる学生

仕事のこと

  • 職場には、自分を含めて3人片耳難聴の人がいた。ご飯を食べに行ったり仲良くして貰っていたが、そのときは席の取り合いになっていた(笑)
  • 片耳難聴だから諦めたということはあまりなく、それなりにやりたいことをやってきたという感じ。
    会社では、聞こえない側にいる人に「こっち側が聞こえないから、無視してしまうこともあるかもしれないけど、気を悪くしないでくださいね。聞こえてなかったら肩でも叩いてくださいね」と言っている。
  • 人と違うこととか障害全般に言えることだが、制度として「合理的配慮」とかもできてきたし、会社の就業規則にもあるけど、多様性への寛容さみたいなものはまだまだない感じがする。どうしたらいいんだろうと戸惑ったり、腫れ物になりがちな気もする。
  • 数年前から仕事をする時だけ、クロス補聴器を使っている。どうしても雑音も拾うが、難聴側から話しかけられたときにすぐに気付けるのは良い。聞こえにくい目印にもなるから、周りからも分かりやすい。人とのコミュニケーションのスタートがスムーズになる。
    単純に機器だけの金額を使用年数で割ると、一年4万円(一日110円くらい)。利便性とコストを比べて、自分としてはまぁいいかなと思っている。(保証期間もあるし、オーバーホールに出したりして5年以上使えることもあるという)
補聴器をする男性

家庭のこと

  • 家族との話は、嫌な話が聞こえてきたら「聞こえないから」と言っちゃう(笑)
  • 夫のは、声が小さくてボソボソしゃべる人。片耳のことを覚えてくれていなくて。「そっち聞こえないから右来て」とか「ちょっともう少しはっきり言おう」と言ったりしてる。
    飲食店で「醤油入りますか」とか店員さんに言われてるときに旦那も聞いていなくて「あなたは聞こうよ」ってなる(笑)つい人がいると頼ってしまって、聞かなくていいやって頼ってるなと思う。
  • 家族の中で隠し事するでもないから、妻や子どもにも伝えている。「お父さん、左耳聞こえないんだよ」と言ったら「ふーん、そうなんだ」という感じ。
    カミングアウトしたという大ごとな感じではなく、普段の会話の中で自然に伝えている。タブーな感じはない。聞こえてなかったら何度も言ってくれる。聞こえないことはあるが、それで子育てに困り感はあまりないと思う。
  • 幼稚園の子どもがいる。「ママは聞こえないんだよ」と普段の生活の中で伝えた。「そうなんだー」という感じで自然に受けとめてくれている。聞こえなかったら、「こっちの耳聞こえないからね」とその都度伝えている。
    こういう人・色んな人がいるんだよとも知ってほしくて。
芝生の上で家族が並んでいる

感想

  • 両耳難聴やろうの人や、ちょっと遠い「友達のお母さんが..」とかはあったけど、片耳難聴の人とは会ったことがなくて。
    話すだけ・会えるだけでも新鮮で、面白かったし、同じような境遇の人と話すことで共感がたくさんあり、楽しかった。
  • 何年か前に片耳難聴になってから、見た目で分からなかったり、聞こえるようで聞こえない立ち位置だと感じていた。「皆は、どうしているのかな」ととっても聞きたくて参加した。
    今まで出会ったことのなかった同じ片耳難聴の方がこんなに沢山いると知れて、救われた。
  • 片耳難聴になったのは最近だが、日常で片耳が聞こえないことで不自由な場面があったとしても、きこいろが拠り所になってくれそう..そんな安心感を抱いた。
  • 思っていた以上に楽しい時間だった。
    同じような体験を話し合う感じなのかと想像していたら意外とそうでもなくて、世代も経験も置かれた立場も違う人達と話ができて面白かった。 自分は生まれつきの片耳難聴だから、片耳難聴ビギナーさんの話も興味深かった。
    両方聞こえる世界から片耳になった衝撃は想像が付かないけれど、単純に音が半分になったというわけではないのだろうという事はわかった。また別の方の体験も聞いてみたいと思う。
スマートフォンを持つ人

今後の予定

感染症対策のため、当面の間は対面での片耳難聴Cafeや片耳難聴レクチャー・個別相談会イベントは見合わせることと致しました。

その間は、毎月1回オンラインでの片耳難聴Cafeを行います。
参加希望の方は下記の記事をご覧の上で、申し込みフォームよりお申し込みください。

参加方法について「きこいろイベント開催の現地開催延期」

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