3. どこから声がするのか分からない

左右の耳から入ってくる微妙な音の違で、どこから音がするのが分かります(音源定位)。片耳難聴の場合は、この差が分からないため、音の方向が分かりません。
どこから音がするのか分からないことで、どんなふうに困っているのでしょうか?

多くの人が、遠くから名前を呼ばれて方向を探している間に、対応が遅れてしまう経験をしていました。

方向がわからないと、音の特定が出来ないこともあるようです。

スポーツの経験がある人の中には、声や音の方向が分からずに困る経験をする人もいます。

遠くから声をかけるときには、手を振ってもらうなどすると分かりやすくなりますが、回答ではどちらでも良いという人も多くいました。
4. その他にもこんな場面で困る
電話や会話、音楽など、他にもどんな場面で困るのかを聞きました。

聞こえる耳と聞き手が同じ(左耳難聴で右利き、右耳難聴で左利き)だと、電話中のメモが取りにくい人もます。

聞こえないことで、「相手に不快感を与えてしまうのでは」と不安になる人はとても多くいました。

聞き取りにくいために、会話に入ることを諦めてしまう経験も多くの人がしています。

意見が割れましたが、職業やアルバイト、趣味などの選択に片耳難聴が与える影響もあります。
片耳難聴だから「諦めた」と思うのか、片耳難聴でも出来ることを「自分で選んだ」と思うのか、捉え方の違いもあるようです。

片耳難聴を周りの人に伝えても忘れられてしまうのは、よくあることのようです。

複数のエレベーターがある場所で「ポーン」という音がなることで、どのエレベーターが到着したのかが分かるというのを知らなかった・・・などという声もありました。

片耳難聴では、ステレオで聞くことができません。ステレオを聞いてみたい、と思う人は沢山いました。

もう片方の耳が聞こえなくなる可能性を心配に思っている人も多くいました。

意見が割れましたが、片耳難聴を補うために他の感覚が敏感と感じている人は、多くはないようです。
今回のアンケートでは、多くの回答者が「5:非常にあてはまる」と答えた設問が多い結果となりました。片耳難聴のある人では同じような場面で同じように困っている、同じような気持ちを抱えているということが言えます。
皆さんも「あるある!」「わかる!」という設問はありましたか?
同じような気持ちを持っている仲間が沢山いる、ということが伝わればいいなと思います。
片耳難聴の困りごとに、どう対応したら良いか、片耳難聴者はどんな工夫をしているのかは、「片耳難聴者が生活の中で工夫していること」をご覧ください。
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出典・参考文献
- Giolas, TG., Wark, DJ.: Communication problems associated with unilateral hearing loss. J Speech Hear Disord. 32, 336-343 (1967)
- Reeder, RM.,Cadieux, J.,Firszt, JB.: Quantification of speech-in-noise and sound localisation abilities in children with unilateral hearing loss and comparison to normal hearing peers.Audiol Neurootol. 20,31-37 (2015)
- Gray, L.,Kesser, B.,Cole, E.: Understanding speech in noise after correction of congenital unilateral aural atresia: effects of age in the emergence of binaural squelch but not in use of head-shadow.Int J Pediatr Otorhinolaryngol. 73,1281-1287 (2009)
- Propst, EJ.,Greinwald, JH.,Schmithorst, V.: Neuroanatomic differences in children with unilateral sensorineural hearing loss detected using functional magnetic resonance imaging.Arch Otolaryngol Head Neck Surg. 136,22-26 (2010)
- https://www.jstage.jst.go.jp/article/audiology/52/4/52_4_195/_pdf/-char/ja