きこいろ運営メンバーのリアルトーク!
2022年8月で任意団体化し3年。
きこいろは、会員メンバーからの会費と、有志の運営メンバーのボランティアによって支えられています。
運営メンバーは、どのような想いで活動しているのでしょうか。
今回は、運営メンバーの中から4人にお話を伺いました。それぞれの立場から、きこいろに関わり始めた当初の思いから今の思いなど、オンライン座談会の様子を紹介します。
〈座談会メンバーの紹介〉
- 麻野
PJメンバー、きこいろ事務局担当。きこいろの発起人の1人。10歳の頃から左耳が聞こえない。
仕事は、福祉やまちづくりコーディネーター。
- 高木
PJメンバー、きこいろIT担当。きこいろ立ち上げ時から運営に携わる。10歳の頃から右耳が聞こえない。
自身でもプロジェクトを立ち上げ片耳難聴向けメガネ型デバイスの開発を行う。 - ねね
ボランティアメンバー、片耳難聴Cafe(交流会)の進行役担当。約2年前に参加。3年前に突発性難聴により片耳難聴。
仕事は、企業で一般事務として勤務。 - 永田
プロボノ、きこいろWEB担当。約2年前にジョイン。両耳が聞こえる。
仕事は、WEB制作関連企業に勤める。

目次
1.関わるようになったきっかけ
「最初は自分のため…」
2.関わってみた感想
「当事者とか非当事者とか、過剰に意識する必要はないのかな…」
3.これから
「一人でも多くの人に情報や活動を届けたい」
1.関わるようになったきっかけ
(麻野)私がきこいろを始めようと思ったのは、遅発性内リンパ水腫という、内耳が原因の片耳難聴になって何年も経ってからごく稀になる「めまい」の病気になったことからでした。
その時、片耳難聴についても改めてネットで情報を見て、中には困っている人もいると知りました。
たまたま私は、子どもの頃から片耳難聴だったので適応できたけど、そうではなく、例えば「片耳難聴くらいで、周りの人を頼るのは甘えかもしれない」等と思われている方もいて。そう思わせてしまう環境があるのだ…と想像したら悲しくて、突き動かされました。
ただ、“良かれと思って” やったことが、逆に不利益をもたらす場合もありますよね。私は、聴覚障害や片耳難聴の専門家ではないし、自己満足や独りよがりになってはいけないなと。自分だけではなく、色んな方の力を借りてやった方が良いと思って、代表はじめ専門職の方や、皆さんにお声掛けをした、という経緯です。
(高木)僕と麻野さんとの出会いは2019年1月頃。Twitterで麻野さんが「きこいろ」のアイディアみたいなことを発信していたのを見て、気になって僕からDMしました。
実際にお会いして、片耳難聴界隈の現状に対して「コミュニティがないよね」とか、「こういう困りごとはあるよね」「こうなったらいいのかな」とか、そういう話をした記憶があります。
海外に片耳難聴のコミュニティがあるっていうのは知っていたんですが、日本には全然ないと思っていたんですよ。
僕自身、他の片耳難聴のある人と繋がってみたくて。任意団体化する前の2019年3月、お試しでやった片耳難聴Cafe(交流会)に参加した時に、自分自身への向き合い方や人に対しての片耳難聴の説明の仕方とか、他の方たちと意見交換して、自分の中に響くものがあって…。
こういう機会がもっとあるといいなと思って、そのまま流れで付いていったらプロジェクトメンバーになっていました(笑)
(麻野)高木さんは、自分のデバイス開発の成功だけを見てるんじゃなくて、「当事者にとっての最適解はなんだろう」といった広い視点を共有できる人だなと思えたので、いいなと思って巻き込んじゃいました(笑)
きこいろは「中立性」をポリシーの1つにしているので、高木さんのデバイス開発だけを応援することは出来ないのですが、お互い協力できるところは協力して、トータルで見たときに、片耳難聴の人や社会がより良くなっていったらいいなと。
(ねね)私は3年前に突発性難聴を発症して、入院した時に不安から片耳難聴について情報を探したんですね。きこいろの存在を知ったのは退院後で「求めていたものをやっと見つけた!」という感動がとても大きかったです。
急に、片耳難聴になって日常生活を送らなければいけない中で、病院ではもうこれ以上、治療の方法がないと言われた時に、どのように生活していけばいいんだろうと…。特に片耳難聴に関する情報は検索してもほとんどなかったので、見つけた時は嬉しかったです。
(麻野)そこからボランティアメンバーになるまで、ステップがあったと思うんですが、どうですか?
(ねね)最初は、自分自身が同じような立場の人が周りにいない分、まず交流会でその人達と話してみたかったので、毎月のように参加していました。で、ある時「ファシリ(進行役)、やってみませんか?」と麻野さんから進めてもらって。
最初は自分のために参加していたのが、次第に同じような悩みを抱えている人ってこんなにいるんだっていうのを感じて、自分の経験が誰かのプラスになればいいな…と気持ちが変わっていきました。
(麻野)ねねさんは、人への寄り添いが上手で。こういう方が交流会で進行をしてくれたら、みんなも話しやすいんじゃないかなって思って、声掛けしてました。今は研修の受講を経て、お手伝いしてもらってます。
永田さんはいかがですか?プロボノをそもそも探していたってすごいなぁって。
(永田)ちょっと浅い考えなので笑って欲しいんですけど(笑) 自己啓発系の本に「ボランティアをすると幸福度が上がる」という記述があって、幸せになりたいなーと思ってボランティアを探して出会ったのが、きこいろです(笑)
きこいろを選んだ理由は2つあって、1つ目は、NHKドラマの『半分、青い。』という朝ドラの大ファンだったことです。片耳難聴についてレクチャーされた岡野さんがきこいろの代表だと知って、勝手に親近感を持ってしまって。「何か役に立ちたい!」と思ったのがきっかけです。
2つ目は、大学生の時にセクシャルマイノリティの団体を運営していた経験から、活動に共感しました。LGBTの人も端から見たら分からず、理解してもらえない…という思いを持っている人がいるので。
片耳難聴の皆さんも、見た目では分からないゆえに困ることもあると聞いて。きちんと私もわかっていないかもしれないんですが、似たものを感じて共感したんですよね。

2.関わってみた感想
(麻野)では、高木さんは初期からここまで実際に関わってみてどうですか?
(高木)最初は人数がこんなに増えるとは全然予想してなかったですし、運営の体制もどんどん整ってきて、ちゃんと回していけるようになって、すごいなと思っています。
(麻野)最初の立ち上げは、10人未満のプロジェクトメンバーで立ち上げたんです。キックオフミーティング、覚えてますか?
(高木)都内のシェアスペースを借りて、実際に全国各地からの皆さんと初めてお会いして。ビジョンやポリシー、やることの摺り合わせをしましたよね。
たとえば、皆のプラットフォームになれるよう「中立性」を大事にしようとか、「かわいそう」って思ってほしい訳ではない、といったスタンスとか。障害者手帳を取得するというのは解決策として違うのではないか、とか。違いもありつつも、みんな思いは共通しているなと僕は感じました。
(麻野)それぞれの方に1回ずつは会ってお話はしていたのですが、皆で集まるのは初めましてで…。バックグランドやパーソナリティが違えば、考え方も大なり小なり違いがあるはずだから、1人1人の想いを大切にしたいな、と思っていました。
当初は、ここまでなるまでプランも全く描けてなくて、私は一年続くかな…って思ってたんだけど(笑)
(高木)現実は厳しいですもんね。他の法人や団体の話を聞くと、人が集まってないとか、どんどん縮小しているっていう話もあったりして。きこいろは、よく続いているなと。
(麻野)ねねさんは交流会を進行してみて、どうですか?
(ねね)印象に残っている言葉で、参加者の方から「交流会が、私の心の支えの場です」と言ってくださった方がいて。
私は中途失聴して、その時は本当に悲しくて、ネガティブなことでしかないと思ってたんですが、自分が当事者であるからこそ、誰かのプラスになるお手伝いができているのかなと思えたんです。ボランティアを通して、徐々に前向きな気持ちにれていて、有難いなって感じています。
(麻野)永田さんはいかがですか?
(永田)最初は、自分が当事者じゃないために皆さんに不快な思いをさせたらどうしよう…と不安な部分があったんですよね。
でも、皆さんが色んな活動にトライするのをサポートするにつれ段々と、最近では、皆さんが “自分の家族” みたいに感じるようになってきてしまって(笑)当事者とか、非当事者とかを過剰に意識する必要はないのかなと思うようになりました。

3.これから
(麻野)最後に、今後きこいろにどう関わっていきたいかなど皆さんからありますか?
(高木)大きな夢としては、片耳難聴で困ることが社会的にも・聴こえ的にもなくなるようになっていったらいいなと思います。その中で、きこいろは誰かの心の支えの一部になるような場所であり続けたいですね。
また、世間には聴こえに関する間違った知識などが流れていることを危惧していて。間違った知識のまま暮らすと、まだ聴こえる耳を危険に晒しかねないんです。きこいろは、きちんと正しい情報を広めていく役割を果たしたいです。
僕自身は開発者として、片耳難聴をアシストをするデバイスを作って、不便さを解消していけたらいいなと思っています。
(永田)きこいろのWEBに関する日々の依頼にしっかり対応して、一人でも多くの人に情報や活動が届いていくお手伝いをしていきたいです。「きこいろがあって良かった!」と思ってもらえる機会を増やしていけたらなと。
(ねね)私も、片耳難聴の人たちの心の拠り所でありたいなと思っています。
目に見えないために周りに理解してもらえない場面が多いですが、心のモヤモヤを当事者同士で共有して、心の負担を少しでも軽くして、悩んでいる人が「自分一人じゃないんだな」って思えたら、嬉しいです。
(麻野)そうですね。
こういった運営って、ともすると「自分たちの活動の維持」と自己目的化してしまうことがあると思うんです。
でも個人的には「きこいろが無くても大丈夫な社会」、つまり、片耳難聴でも何とかなる、片耳難聴に限らず、必要なサポートを誰もが互いに試行錯誤できる…そんな社会になったらいいなと思っています。きこいろは、その一部として少しでも貢献できたら嬉しいです。
(全員)これからもよろしくお願いします!ありがとうございました。
(麻野)(((ボラメンバー・プロボノ、そして寄付や企業協賛も絶賛募集中です!!
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