この記事では、「最近、片耳難聴になった人」を対象にした会について様子をご紹介します。
片耳難聴Cafeは、「あるある」という共感や安心感、
そして、同じ片耳難聴と言えど一人一人のちがいがあることを大切に交流できる当事者同士の集まりです。
2020年度は、新型コロナ感染状況を鑑みオンラインにて様々なテーマを自由に話す回と、特定のテーマや対象で話す回を企画しています。
片耳難聴になる原因は様々で、ある程度年齢を重ねてから発症する場合もあります。
特に発症間もないと、もう片方の耳が正常に聞こえるとは言え、
それまでの両耳で聞く音の聞こえ方の違いや、
突然に身体の一部を失うこと、病気になるということなどの不安も大きいのではないでしょうか。
近い境遇の方同士でお話することで、より体験や気持ちの共有ができたらと思い企画しました。

主に話されたこと
参加者は、20代~50代の6人。
発症時期は5年ほど前~つい数か月前で、突発性難聴によるものが主な原因、聴力の程度は難聴側が中等度~重度とのことでした。
お話した中から一部、個人が特定されない範囲で記します。
- ・突発性難聴:
突然起こる片耳(まれに両耳)の感音性難聴のうち、原因が不明なものの総称。めまいや耳鳴りを伴うこともある。 - 聞こえにくくなる程度は人それぞれで、早期に治療することで回復する場合もあれば、全く聞こえなくなる場合もある。発症後できるだけ早く(遅くとも1週間以内)の治療が重要といわれている。繰り返し起こることはない。
発症当時のこと
- 高校の授業中、突然「水の中に入ったような」こもった耳の感じになった。音がゆがんで響いたり、めまいも出てきたため受診。その時点ではよく分からず、学校に戻り部活をしていた。
再度大きな病院を受診したところで、突発性難聴と診断。学校を休みたくなく、通院治療で点滴を受けながら数日は登校したが、フラフラめまい感もあり大変だったため入院治療に切り替えた。 - オンライン会議中に、片耳だけ聞こえなくなり、イヤホンが壊れたのかと思ったら、自分の耳が壊れていた。
周りにも突発性難聴になった方がいたため、思い当たり受診し入院治療を行った。 - 仕事の電話中に聞こえにくくなり、音量ボタンを下げてしまったかと思ったが、自分の耳がどんどん聞こえなくなっていた。吐き気もあり、会社を早退し病院を受診した。その後、入院治療を行った。
難聴以外で困ること
- 当初は、聞こえの過敏さや耳鳴りが気になったが、数年が経ち、いつの間にか慣れてきたかもしれない。
→Tips!
静かすぎる環境だと耳鳴りに意識しやすくなってしまうため、家にいるときはなんとなくTVを流して無音にならないようにしている。 - まだ発症して数カ月。耳鳴りのキーキーした感じや、頭の中で音がハウリングしているような感じが続いている。たとえば、BGMなど賑やかにかかっているお店も苦手。
- 耳鳴りや聴覚補充現象がうるさいくらいで辛い。
特に聴覚補充現象では、自分の場合は、高音が響く。食器のカチャカチャした音、スーパーのビニール袋を開ける音、子どもの大きな声など…。
ドクターにも音を避けるしかないと言われるが、日常生活で避け切るのは難しい。
周りの人に配慮を求めるのも限界があるし、伝えにくい(たとえば、子どもの声も大きな声がでるのは自然のことなので、それを辞めて欲しいとは言いにくい)。
→Tips!
外出時は耳栓やイヤーマフを持ち歩き、苦手な音をなるべく聞かないようにしている。
- ・耳鳴り:
「ゴー」「キーン」「シャー」など、難聴のある耳に耳鳴が伴うことがある。
原因は、はっきりと解明されていない。難聴によって聞こえなくなった音を脳が補おうとして過剰に興奮した結果、頭の中で作り出された音と考えられている。 - ・補充現象:
- 音の大きさの変化に対して、感じ方がとても敏感になる現象。
難聴が内耳の障害による場合に伴うことがある。原因は、内耳の中にある有毛細胞が傷つき起こると考えられいてる。
(詳細は、「難聴に伴う症状」)

- ・聴覚過敏:
音への苦手さを持つのは、難聴だけでなく、様々な病気でも「感覚過敏」のひとつとして現れることがある。
たとえば、発達障害のお子さんなどが耳の保護具「イヤーマフ」や「デジタル耳栓」で対策を取る際に、「TPOを考えずに音楽を聞いている」と誤解されることもあり、周りに伝えやすくするためにマークを使用する人もいる。
聞こえにくさで困ること

- 誰も話しかけてないのに、自分に話しかけられたと勘違いし「なんだった?」と言ってしまって、周りは「話しかけてないよー!」と驚く。
知っている人ならともかく、知らない人だと気まずいし恥ずかしい。
音の距離感や方向感が掴めないから、複数の人がいる場面で、かつ、特にマスクや相手が下を向いていたり顔を見て視覚で判別できない状況だと、誰が声をかけてきたのか分かりにくい。 - お店で並んで物を買う時などで、自分に声をかけられたのか他の人へのものだったか分からないときは、聞こえなかったフリをする。
自分に話しかけれていたのであれば、もう一度呼んでくれるから。 - 電車など雑音の大きい場所で、座席に隣同士で座る場面。
難聴側に相手が座ってしまうと会話が難しい。
気を遣われるのが嫌で、片耳難聴を開示していないことも多いため、
なんとなく会話を流してしまう。内心は焦っている。
→Tips!
普段は、難聴側に壁などがくるようにして、他の人が難聴側に座ったり話しかけにくいようにしている。
伝えなくても、なんとかなる状況を自分で作ってしのぐ。 - 聞こえにくかったときに、何度も聞き返すのは躊躇する。
相手からすれば、1度聞き返されたことを返答したら、それで聞こえただろうと思われる気がするから。
片耳難聴を伝えている人であれば、「そうか」と思ってもらえるが、初対面や特に親しくない人には、片耳難聴のことを言うタイミングも難しく思うし、もう一度聞き返すか迷う。
→Tips!
場面に応じた相手に伝える言葉の工夫例
①表情や頷き、首をかしげるなどで、伝わっていることや伝わっていないことを表す。②聞き取れなかった箇所を具体的に聞く「~~時でしたか?」③候補を複数あげて確認「13時?14時?」④聞こえたと思ったことを復唱して確認「13時集合ですよね?」④
参加された方の感想
- 身近に片耳難聴の人がいないたため、当事者同士で話せる充実した時間でした。
普段は、当事者ではない家族と話す際には、大体わかってくれたら充分かなという感じですが、
ここで同じ境遇の方と話し、日常で感じていることを他の方に共感して貰えたり、自分も皆さんの体験に共感でき、気持ちの面でも安心することができました。

今後の予定
片耳難聴Cafeは、
会員メンバー以外でも参加できるオープンなイベントです。
- 2月28日(日) ショート版
12時~13時
※通常より短い1時間。どなたでも参加可 - 2月28日(日) 対象「10~20代、学生」
14時~16時
※10~20代の同年代と話したい方向け - 2月28日(日)ショート版
17時~18時
※通常より短い1時間。どなたでも参加可 - 3月28日(日) 対象「家族」
14時~16時
※お子さんが片耳難聴を持つご家族など - 3月28日(日) ショート版
14時~15時
※通常より短い1時間。どなたでも参加可 - 3月28日(日)テーマ 「音楽好きの会」
16時~18時
※プレーヤー・リスナー問いません
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