聞こえの専門家「言語聴覚士」で、片耳難聴の当事者でもある、きこいろ副代表の高井を講師に『片耳難聴レクチャー』を3月に開催しました!

補聴器を学び・試聴体験ができる勉強会は、2022/09の東京開催に続き2回目です。
今回は、約35名が参加。
参加者は、10歳~80代までと幅広く、片耳難聴のご本人はもちろん、お子さんが片耳難聴の保護者や、パートナーが同席される方もいました。
片耳難聴の場合、片耳が正常聴力であることもあり、補聴器を日常的に使用している人は多くはありません。今回の参加者も、初めて試用するという人がほとんどでした。
- 開催歴
2019年 基礎知識編 in 横浜、広島
2020年 基礎知識編 @オンライン
2021年 キャリア編 @オンライン
当日のコンテンツ
- 講師による補聴器についての解説
- 当事者のエピソードトーク
- 補聴器の試聴
(機器:クロス補聴器・ワイヤレス援助補聴システム
メーカー:シグニア、フォナック) - 質疑応答
運営には、きこいろのメンバーだけでなく、
関西地域の認定補聴器技能者、聾学校教員、言語聴覚士とその卵の学生さんにも、協力をいただきました。

話されたこと
「聞こえ」「片耳難聴とは」
補聴器の話に入る前に、概論を紹介。
「聞こえる・聞こえないの二項対立ではなく、聞こえはさまざまで、グラデーションがある」という視点や、
「音は脳で聞いている」ため「外国語の歌だと思い込んで聞くと、実は関西弁だった…」などの聴覚の不思議についてもお伝え。
補聴器の解説・試聴
補聴器については、当日に試聴提供した機器以外にも、いくつかの片耳難聴に使える可能性のある補聴器についてお話しました。

2つのスライドは、特に近年開発された「伝音難聴」の方が使える補聴器です。
・埋め込まない骨導補聴器(ADHEAR)
参考「日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会サイト」
・軟骨伝道補聴器
参考「日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会サイト」

いずれも、メリット・デメリットがあります。
自分に合うかどうかを確かめること、購入する際は専門医・専門店で相談することが大切です(詳細:片耳難聴に使える補聴機器)。
今回の試聴でも、実際の使用時に近い環境を再現するため、雑踏などの環境音を流した中で聞こえ方を確認しました。
補聴器が困った時の選択肢を1つとして、今回のイベントが可能性を広げるきっかけになれば幸いです。
参加者の感想
- これまで補聴器を使った経験もありましたが、当時より進歩しているように感じました。
知らなかったことが知れて、大変勉強になりました。 - 今まで補聴器は無理だと思っていたので、使えるものがあると知り感動しました。
また、同じ悩みを持つ方達と交流できたことが今後の支えになると感じてます。
良い補聴器があっても、前向きな気持ちが無いと使おうと思うこともできない気もするので。 - 補聴器がどんなものなのか、知ることができて良かったです。
実は(劇的に聞こえる!)というのを密かに期待していたのですが…そういう感じではなかったですね。
何も知らずに「補聴器を買おう」とならず良かったと思っています。

きこいろについて
有志の片耳難聴当事者や専門家を中心とした、ボランティアが運営する任意団体。
多様な聞こえのある人が過ごしやすい社会になることを願い、2019年~、情報発信や啓発活動、交流会・勉強会などを行っています。
おすすめ記事
- 機器関連
ー「片耳難聴に使える補聴機器」
ー「片耳難聴にも使える音響機器(骨導って?)
ー「片耳難聴と音の方向知覚」 - 伝えることについて
交流会イベントレポ―ト
エピソードコラム(学校)(仕事) - 周りの人ができる工夫について
-「家族が生活の中でできること」
ー「学校生活でできること」
ー「職場でできること」