学校生活と片耳難聴 pt.2(友達に伝える?)

2021年5月1日 − Written by きこいろ編集部

エピソードコラム連載企画「片耳難聴と学校生活」。

part1の「先生に伝える?」に続いて、
今回は「友達に伝える?」をテーマにまとめました。

片耳難聴を持つ学生は、学校で友達と関わる時どのように対応しているのでしょうか。

10代の現役学生~当時の学生時代を思い出して回答して下さった50代までと、
幅広い年代の方々に実体験をお寄せいただきました(55名)。

体験やご意見は様々です。一例としてご参考までにお読みください!

周りの友達に伝えている?いない?
その理由や方法、相手の反応を教えてください。

お寄せいただいた55名のうち、友達に伝えた/伝えていないの割合では、
一度は伝えたことがある人 80%、
一度も伝えたことがない人 20% という結果でした。

それでは、具体的なエピソードを紹介していきます。

1. 仲の良い人に伝える

友達の中でも、特によく関わる人や親しい人に伝えるという人が多くいました。

協力や理解を得られた

  • 突発性難聴で入院して、学校を休んだため、先生からクラスメイトに説明があり、自分からも仲の良い友だちには話した。
    クラスメイトは私に、普段と変わらずに接してくれつつ、聞こえない耳からの会話を避けてくれたり、ゆっくりと大きな声で話してくれたりもしていた。
    (20~30代. 16歳で左耳が突発性難聴)
  • 親しくなった友達や、「いつも何でこっち側がいいって言うの?」って言われた時には言っている。
    「気づいてなくてごめん!」と、聞こえる側に来てくれる子が多い。
    (大学・専門学生. 10歳でムンプス難聴)
  • 友達と席が近くの人には伝えた。「聞こえない時があるからごめんなさい」って伝えていた。
    「そうなんだ」と分かってくれた。
    相手が私に話しかけても私には聞こえておらず無視してまうなど、体験によって左耳が聞こえないとより理解してくれて、色々と助けてくれることもあった。
    (40代~50代. 発症時期は不明. 左耳混合性高度難聴)
  • 親しい友達にのみ伝えている。
    ある程度仲良くなってから「実はね…」と打ち明けることが多い。
    「そうなんだ!」と納得されることが多い。
    (20代~30代. ムンプス難聴)
  • 初めて片耳が聞こえないと分かったときに、
    仲良い友達に交換ノートで相談
    して、それから話を聞いてもらった。
    ひとりで抱えられなかったからです。
    友達は、それまで聞こえていた自分を知っていたから、驚いて心配してくれ嬉しかった。
    その後は、いつも覚えてる訳ではないが、3年間ずっと同じクラスだから、
    席を変えてほしいと伝えたりしても「そうだった、ごめん」と自然な反応だった。
    (中学生.中学1年生のときに、原因不明で右耳聾)

話したいことを伝え合える信頼関係があると心強いですよね。

ただ、やはり見た目で分からないため仲の良い友達でも、一度伝えただけでは忘れられること多く、相手の反応や対応の度合いも人それぞれでした。

伝えても忘れられた

  • 仲良くなった子や隣の席になった子には「無視しているわけじゃないよ」と伝えていた。
    「全然分からなかった!」と驚かれ、心配されることが多々あった。
    その後は、聞こえる側にいてくれる人と忘れる人の2択に分かれた。
    (20代~30代. 5歳で右耳ムンプス難聴)
  • 気を使わせるのも使うのも面倒なので、かなり仲の良い友達にしか伝えていない。
    話しかけられたのに気づかず無視してしまったら、理由を言って謝っていた。
    友達は伝えた瞬間は気にしてくれていたが、段々忘れられていたような気がする。
    (20代~30代. 先天性)
  • 仲良い人にだけ、聞こえにくい場面があったときに思い切って伝えていた。
    皆の前で言うのは抵抗があった。
    席を変えてもらうのも人目が気になり、特別扱いされていると思われるのが嫌だった。
    見た目では分からないので、席替えで単に贔屓されている、ずるいと思っている人もいたと思う。
    伝えたときは「あっそうなの?わかんなかった」と驚かれたが、普段の生活の中で段々と忘れられていった。
    ふとした時に「あれ?どっちか聞こえなかったっけ?」と思い出されることもあれば、
    「そうだったっけ?」とまるっきり忘れている人もいた(笑)
    伝えていない人や忘れている人の中には、私が聞こえておらず気づかないのではなく、よく無視していると思っている人もいた。
    (20代~30代. 先天性の左耳重度難聴)

2. 必要に応じて伝える

個人差はありますが、静かな場所や聞こえる側からの会話など、片耳難聴を伝えなくても困らない場面もあるため、
いつも伝えるのではなく、周りの友達に協力を求める必要を感じたタイミングで、その都度伝える人もいます。

必要を感じたときのみ伝える

  • ディスカッションやグループトークをする際に、「左耳が全く聞こえないから、聞き返しが多くなったらごめん」などと伝える。
    (20代~30代. 蝸牛の発達不足による先天性の左耳難聴)
  • 困りごとが実際に起きたときや、困りそうだと思うときに個別に伝えた。
    普段一緒に行動する子には、聞こえないことを伝えつつ、常に自分が聞こえやすい位置になるよう先回りして動いていた。
    そのうちに、定位置を覚えてもらえた。
    伝えた時の相手の反応は、驚いたり、「なぜ・いつから聞こえないのか」と興味を持って質問されたり、「気づかなくてごめん」と申し訳なさそうにされたり、人それぞれだった。
    (40代~50代. 先天性で原因不明)
  • 必要に応じて、伝えたり伝えなかったりする。
    相手の反応は、びっくりされるが特に問題はないと感じている。
    気を利かせて聞こえる側にまわってくれる子もいる。
    (20代~30代. 先天性の右耳重度感音難聴)

聞こえにくいシチュエーションで具体的に伝えると、相手にも分かりやすく、納得が得られやすそうです。

3. 自己紹介で伝える

クラス替えのなど自己紹介がある最初のタイミングで、皆に一斉に伝えておくという人もいました。

自己紹介で伝える

  • 高校までは、仲良くなった子や隣の席の子に個別に伝えていた。
    大学では、初日に自己紹介で同じ専攻の人たち(15人くらい)の人の前で
    「片耳聞こえてないので、席を代わって欲しいってお願いすることがあるかも」と、一斉に伝えた。

    周りの反応は、仲がいい子以外はすぐ忘れられる。仲が良い子でも次の日には、右だか左だか忘れる(笑)
    徐々に、立ち位置や席を聞こえる側に変わってもらうちに、感覚で覚えてくれるようになる。
    (大学・専門学生.6歳で判明、左耳聾)
  • 自己紹介では言っていたが、個別では言いにくく、機会がない限りは伝えていなかった。
    友達からは「じゃあ聞こえる方の耳を塞いでみて」と言われることはよくあったと思う。
    (大学・専門学生. 先天性)
  • 自己紹介で軽く説明しておく。聞こえる端側の席をキープすることを理解してもらうため、伝えている。
    しかしほとんど忘れられるので、詳しいことは個別に親しい友人だけに伝える。
    すると、「あ、そうなんだ。時々話しかけても聞こえてないからおかしいなって思ってたよ」 と、伝える前から気づいてくれていたこともあった。
    (20代~30代 子どもの頃からの片耳難聴)
  • 中学生のときに自己紹介で「左耳が聞こえないので、できるだけ右から話しかけてもらえると嬉しいです」と伝えていたが、周りからの反応はなく、忘れられた。
    高校からは周りにいる友達にだけ伝えるようになった。
    「左耳が聞こえないから、もしかしたら無視してしまうかもしれない、自分が左側に移動して話すことが多いからよろしくね」と伝え、
    仲の良い友達は「分かった!」とか「全然大丈夫だよ〜」という反応。
    (大学・専門学生. 5歳で左耳重度難聴)

中には、授業や集会などの機会を使って伝えたという人もいます。

授業を使って伝えた

  • 公に初めて伝えたのは、小3。授業1コマを使い、クラス皆の前で左耳が難聴であるとを発表した。 
    きっかけは、友人に聞き返しをすると「しつこい」と言われることがあったから。
    連絡帳に「しつこいと言われる」と書いて担任に相談したところ、片耳難聴のことを皆に伝えようと背中を押してくれた。
    担任と一緒に作文を書き、皆の前で発表した。 発表後に、皆が書いた感想用紙を見せてもらった。
    「気づかなかった」「次から、聞こえる右側から話すね」「難聴は痛いの?」といった反応をもらった。 
    それ以降は、春休み明けのクラス替え後の自己紹介の時に伝えた。
    徐々に学年に浸透し、聞き返すことがあっても怒ったりする人はいなかった。
    (20代~30代. 7歳で左耳が突発性難聴)

大勢の前で話すのは、勇気がいったのではないでしょうか。

どのようにしたいか個々の気持ちを先生に相談できたり、クラスメイトが理解を示してくれる雰囲気があったりすると話やすいですね。

4.伝え方に変化があった

「以前は伝えていなかったけれど、今は伝えるようになった」という人もいます。

伝えなかった → 伝えるようになった人

  • 中学生や高校生のときは恥ずかしいような気がして伝えていなかったが、「右耳が聞こえないんだよね」と大学生になってから周りの人には言うようになった。
    一番仲のいい友達には直接口頭で、その他の人にはTwitterでカミングアウト。「右耳だよね」と何度も確認してくれた。
    (大学・専門学生. 7歳の頃に発覚)
  • 昔は伝えた時の反応が怖く、かなり仲良くならないと言えなかった。
    最近は自分の個性だと受け入れられるようになり、言う必要がある場面では伝えている。
    相手の反応は、たいていは「ふーん。そうなんだ」とすぐ忘れられる。 
    たまに配慮してくれる人がいると、その人のことはすごく好きになる。
    (大学・専門学生. 3歳でムンプス難聴による左耳難聴)
  • 中学まではいじめがあったため伝えなかった。
    高校からは、自分で聞こえるように対応するのが面倒くさくなり、仲良い人には伝えるようにした。
    友達の反応は、「そうなんだー」「そうだろうな」という感じ。意外と話のネタになって友達が増えた。
    (20代~30代. 7歳で右耳がムンプス難聴)

反対に、「以前は伝えていたけれど、今は伝えなくなった」という人もいます。

伝えていた → 伝えなくなった

  • 小学生までは友達に普通に話していた。小耳症の奇形の耳も見せていた。
    だが、外耳をつくる手術して耳の形に納得がいかなかっため、見せられなくなった。
    中学からは慣れない環境と恥ずかしさからか、伝え方が分からず伝えていなかった。
    本当に仲の良い人にのみ伝えていた。
    伝えたときの友達の反応は、普通に会話ができるので、悪い意味でなくあまり腑に落ちない感じだった。
    聞き返しなどを実感している人は割とすんなり受け入れてくれた。
    (20代~30代.先天性の小耳症で外耳道閉鎖症)
  • 一度クラスメイトに伝えたことがあったが、色々と言われたため、小学校から仲の良い友達1人には伝えた。
    小学校からの友達は快く受け入れてくれた。
    (中学生. 7歳でムンプス難聴)
  • 中学まではクラスメイトに伝えるようにしていたが、
    仲が良くない一部の人は、難聴側から話しかけてきてからかいの的になってしまった。
    そのため、高校では仲の良い友達にしか伝えなかった。
    (大学・専門学生)

相手を知りたいという気持ちで関心を持ってもらえるのと、相手の思いを考えずにからかいのネタにされるのは、違いますよね。

このように相手の反応が、自分の伝え方に影響を与えることもあります。

関連記事:「片耳難聴を人に伝えること」

自身のコミュニケーションの取り方によって、相手の反応が良い方向に変わった経験を教えてくれた人もいました。


  • 「ごめん、わたし生まれつき左耳が聞こえないの!もう一回言って〜」と
    明るく言うようになってから
    「え!うそ、全然気がつかなかった!」と聞こえる耳の方から話しかけてくれたり、電車の席に気を使うようになってくれた。
    それ以前は深刻に伝えていたからか、相手も気まずそうな顔をすることがあった。
    伝える理由は、聞こえない方から話しかけられた時に、無視と思われるのを予防するため。
    (大学・専門学生. 先天性の左耳聾)

また、伝えるときのモチベーションに変化があった人もいます。

  • 無視したと思われるのが嫌だから伝えてきた。
    高校生くらいからは、「片耳難聴の知名度を上げたい。自分も誰かの役に立ちたい」という気持ちが強くなったからかもしれない。
    伝えると相手からは「えー?!」って言われる(笑)
    (大学・専門学生. 左耳聾)

5. 伝えない

友達に伝えないと答えた人は、以下のような理由を挙げていました。

必要性を感じないため伝えない

  • 大学以降はほとんど言っていない。中学高校までは、特に何も考えずに言っていた。
    右耳が聞こえないことで友達関係を気にしたことはない。
    (20代~30代. 4,5歳ごろ・MMRワクチン副反応による右耳失聴)
  • 学生のときは、友達に伝えなくてはならない自覚がなく、言っていなかった。
    授業も今のように皆で相談しながらということもなかったため、あまり困らなかった。
    (40代~50代. 生まれつき左耳聾)
  • 誰にも言わずに過ごした。特に困ることはないだろうと考えていたため。
    (大学・専門学生. 13歳で右耳が突発性難聴)

生まれつきや、幼い頃から片耳難聴の場合、その聞こえ方が当たり前で、困ると感じることがあまりなかったり、自然と立ち位置・席位置を考えて自分が動いてカバーできていたということもあります(参考:「片耳難聴者の工夫」)

しかし、伝え方に悩む人もいます。

伝えにくい

  • 学生時代、周りの友達にも伝えていなかった。
    雰囲気を変えてしまいそうで、どう伝えたらいいのか分かなかった。
    (20代~30代. 14歳で高安動脈炎による右耳聾)
  • 伝えていない。変わってると思われたり、気を遣わせたりしたくない。
    片耳難聴である自分のことを情けなく思ったり、親に申し訳ないと思ってしまう。
    自分が片耳難聴であることを受けとめきれていないから、周りにも話せないし、一人で悩む。
    (大学・専門学生. 幼少期の頃から)
  • 伝えたもことあるけど、忘れられたり、「ふ~ん」という反応だったりで、
    あまりおおげさに言わない方がいいような気がして、積極的には伝えていない。
    (40代~50代. 10歳の頃に判明、原因は不明)

自分のことを伝えるのは、緊張したり勇気がいりますね。

当事者同士の交流会 片耳難聴Cafeでは、
「伝え方が分からない」「伝える必要があるのかな」など、片耳難聴の伝え方にまつわるお話もしています。

周りの人には、伝えにくいことも当事者同士なら話しやすいはず!
関心のある方は、気軽に参加してみてください(詳細はこちら)

片耳難聴Cafe現地開催の様子。2020年度~はオンライン開催。

まとめ

「片耳難聴と学校生活」part2「友達に伝える?」をテーマに、55名のエピソードを紹介してきました。

今回の回答結果まとめ

  • 学校で友達に伝える人は、
    仲の良い友達には伝える、必要なタイミングで協力を依頼する、自己紹介の時に一斉に伝える
    といった方法を取っている人がいました。
  • 学校で友達に伝えない人は、
    特に必要性を感じていないという人と、友達の反応が心配で伝えにくい
    と感じている人がいました。


聞こえも、おかれた環境も人それぞれ。
学生の皆さん一人一人に合ったヒントがみつかりますように。

「片耳難聴と学校生活」シリーズ

皆さんの多様な体験を、数回に分けて掲載予定です。

ご感想や、学生生活と片耳難聴にまつわるエピソードがありましたらお寄せください!


  • 片耳難聴とは:
  • 片方の聴力は正常。もう片方の耳が、軽度~重度の難聴(聞こえにくい・聞こえない)がある 状態。医学診断名では、「一側性難聴」「一側聾」という。付随症状のめまい・耳鳴りの有無や、個人・環境の状況によっても困りごとや必要な対応はそれぞれ。
  • ※エピソード募集方法:
  • Googleアンケートフォームで質問を作成。TwitterきこいろアカウントとFacebookの会員メンバー限定グループを利用し募集。難聴の程度や症状は、自己申告に基づく。文体や表記の統一・内容に差し支えない範囲で説明文の追加等を行った。同様の回答は、文量の都合上カットした。(2020/10/20~11/10)

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学校向け啓発リーフレット(リンク/ダウンロードフリー)

著者紹介